汚水処理技術の事例紹介と評価

[浄化処理(ふん尿混合)]

1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企 業 名

九州化工株式会社

処理方法

活性汚泥変法(嫌気性処理+活性汚泥処理+脱窒処理)

適応畜種

豚舎汚水

問い合わせ先・担当者

環境事業部・芹田 智
TEL:0994-42-4121 FAX:0994-42-4123
お問い合わせ:kyuka-ca@ceresu.ocn.ne.jp

処理施設の概略フロー

処理施設の概要

 養豚汚水を凝集剤を使用せずにスクリーンで固液分離し、分離液を嫌気性処理を行う。
 次に、その消化液に対して曝気方式による標準活性汚泥処理を行う。浄化処理水の高度処理は脱窒を行って放流する処理システムである。

処理施設の特徴

  1. 嫌気性処理(メタン発酵)及び標準活性汚泥方式で、運転は連続式である。
  2. 前段処理として嫌気性処理を行うことで、省エネで汚濁物質の減量化ができる汚水処理法であり、BOD 濃度30,000ppm 位のふん尿混合汚水に対応できる。また、原水流入量の変動に対しても嫌気性の消化日数が長いため処理性能に影響が少なく、BOD の負荷変動に対する影響も受けにくい。
  3. 80%以上のBOD が嫌気処理により除去されるので、曝気槽が小さい。このため、曝気消費電力も小さい。余剰汚泥の発生が少なく、凝集剤も必要としないので、ランニングコストの削減が可能である。
  4. 機械設備が少ないため、設備面でのトラブルが少なく、維持管理が容易である。
  5. 嫌気消化の分解速度が遅いため、滞留時間を長くとる必要がある。
  6. 脱窒反応のエネルギー源としては、固液分離後の汚水の適量を脱窒槽へ投入する方法である。

処理施設の実施状況

1. 畜種、飼養規模 
:豚舎汚水、母豚100 頭一貫規模
2. ふん尿の排出方法 
:ふん尿混合方式
3. 希釈倍率 
:希釈なし
4. 処理水の処置 
:流域水路に放流

排出汚水量・BOD 量

1. 排出汚水量 
:10 m3/日(10l/頭・日)
2. 排出汚水BOD 濃度 
:30,000mg/l
3. 排出汚水B O D 量 
:300kg /日(300g /頭・日)

固液分離の方法

1. 固液分離機の機種 
:豚舎汚水の固液分離機(スクリーン型式)
:余剰汚泥の脱水機は不使用
2. 凝集剤の使用 
:豚舎汚水及び余剰汚泥とも不使用
3. S S 除去率 
:60%
4. 分離固形物水分 
:80%

高度処理方法

  1. 脱窒工程のエネルギー源として、固液分離後の汚水をBOD:窒素= 2.8:1 の割合で脱窒槽へ投入する脱窒法

水質処理性能

曝気槽BOD 容積負荷量:0.056kg /m3・日

嫌気槽投入汚水 曝気槽処理水 高度処理水 除去率
SS mg/l 5,200 97 47 99.1
COD mg/l 8,109 168 95 98.8
BOD mg/l 13,440 56 30 99.8
T-N mg/l 1,160 270 66 94.3
T-P mg/l 1,460 36 25 98.3

※嫌気性消化槽から発生する消化ガスの利用は、ガスブロワにより燃焼装置に送り込み燃焼させ、その熱を嫌気槽汚水
の加温に用いる。


処理経費

1. 処理施設の建設費 
:建設費の合計(3,672 万円)、年償却費(220 万円)
2. 維持管理費 
:維持管理費の合計(電力費+薬品費= 49.3 万円/年)
3. 高度処理経費 
:建設費500 万円(年償却費30 万円)、維持管理費(36.5 万円)
4. 処理経費の合計 
:母豚1 頭当たり(3.3 万円)、出荷豚1頭当たり1,680 円

導入に当たっての留意点

  1. 分離固形物は堆肥化処理を行う。
  2. 嫌気槽の働きが良くなりすぎて、曝気槽において低負荷運転になりやすい。
  3. やや広い敷地面積が必要である。

2.評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. システムが複雑であり、全体をバランスよく制御するため管理技術が必要である。また、何かトラブルの発生したときのバックアップの準備が必要である。
  2. 高度な処理が期待できるが、処理コストは全処理方法をとおしてやや高い。
  3. 液状汚泥の堆肥化は水分が高く困難であり導入時には注意が必要である。
  4. 脱窒のための水素供与体を安定的に確保する運転技術を確立しておく必要がある。

評価チャート

評価年月日

施設外観

固液分離機

ばっ気槽(硝化槽)

脱窒槽

沈殿槽

越流せき