炭化処理技術の事例紹介と評価

[連続式横型炭化炉]

T.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

太平洋エンジニアリング株式会社

1.処理方式の区分

連続式 横型炭化炉 (ロータリーキルン)

2.問い合わせ先・担当者

エンジニアリング本部エンジニアリング三部 仲丸孝
〒134-0088 東京都江戸川区西葛西8-4-6
TEL:03-5679-3268 FAX:03-5679-3252
技術を参照できるURL:http://www.taiheiyo-eng.co.jp/
お問い合わせ:ホームページから

3.応募施設の基本的事項

(1)商品名
  型式等の区分
連続式横型炭化処理施設(ロータリーキルン式)(外熱)
(2)処理対象 ブローラー鶏ふん
(3)原料処理量 20トン/日 炭化炉投入原料(生ふんの乾燥なし、水分40%)換算
(4)製品形態 炭化物
(5)施設概要 ブロイラー鶏ふんをそのまま造粒、炭化処理して炭化物を製造する施設

4.設置されている畜産経営の概要

(1)飼養畜種・飼養規模
 @飼養畜種ブロイラー
 A飼養規模300千羽
 Bふん尿量20トン/日(水分40%)
(2)畜舎構造密閉低床式鶏舎
(3)畜舎面積6,000m2
(4)堆肥化、汚水処理施設の有無
 @堆肥化処理施設 なし
 A汚水処理施設 なし
(5)自己所有のほ場面積
m2不明
(6)堆肥・焼却残渣等,  自家施用量0トン/年
(7)施設所在地鹿児島県

5.応募施設の設計概要(計画)

(2)主機となる設備 燃焼炉、炭化炉
(3)施設設置年月日 2004年3月
(4)処理対象 ブローラー鶏ふん
(5)施設のシステム構成 本施設は、フローチャートに示したように、ブロイラー鶏ふんを造粒してからロータリーキルン式炭化炉で、炭化処理し炭化物を製造する施設である。なお、熱分解ガスおよび重油を炭化炉の熱源としている。
(6)付帯設備 炭化炉乾留ガスを炭化炉の熱源とする。
(7)施設の特徴
@ 連続式炭化炉のため、立ち上げ、立ち下げの際に生ずる熱ロスがほとんどない運転が可能である。
A 熱分解ガスを主燃料とし、補助燃料の使用量が少ない。
B 炭化物は、土壌改良材、炭素資材、特殊肥料として、環境保全資材利用、農業利用、工業利用、建築資材等として各種用途に利用できる。
C 施設の運転はほとんど機械化、自動化されているが、装置の作動状況の監視等、専従者が必要である。
(8)処理能力
@ 計画炭化能力 840kg/時  炭化炉投入原料(生ふんの乾燥なし、水分40%)換算
840kg/時(鶏ふん換算)×24時間/日
A 計画炭化時間 24時間/日
B 燃料燃焼能力 40L/時
(9)処理性能
@ 排ガス処理目標 大気汚染防止法、ダイオキシン特措法規制基準以下
A 製品用途 土壌改良剤、特殊肥料(登録準備中)
B 基準を満足する根拠 炭化物、販売(肥料取締法、廃掃法溶出基準以下)(原材料が家畜ふんのみであり、通常の状態で肥料取締法(溶出基準を含む)の基準を満足する)
(10)製品化設備と製品貯留設備
@ 製品化設備 製袋器(1m3フレコンバッグ詰め)
A 製品貯留設備 製品貯蔵ヤード
(11)施設設置面積 1,000u

6.応募施設の稼働状況(実績)

(1)施設の稼動実績
 @実稼動炭化処理量 840 kg/時 炭化炉投入原料(生ふんの乾燥なし、水分40%)換算,600〜800kg/時
 A稼動時間 24 時間/日
 B年間稼動日数 300 日/年
 C炭化温度 400
 D使用燃料 (補助燃料:A重油)
 E燃料使用量 300 kL/年
(2)施設の運転にかかわる日常作業量
 @常勤者  延べ時間 延べ 160 時間/週 (4人×8時間/日×5日/週)
 A非常勤者 延べ時間 延べ 0 時間/週
(3)残渣の発生量とその処理 1,800 トン/年 (収率 30%、原料水分40%換算)
(4)排ガス対策等
 @排ガス量 7,200 Nm3/時 (熱分解ガス発生量)
 Aばい煙対策 サイクロン集塵機
 B塩化水素対策 サイクロン集塵機
 CNOx対策 サイクロン集塵機
 DSOx対策 サイクロン集塵機
 Eダイオキシン対策 サイクロン集塵機

7.機能調査の分析例


8.処理経費(応募施設の実績)

(1)処理施設の建設費
  (土木建築、設備機器)
 
 
備考
 施設建設費 495,000 千円
(2)年間処理経費  
 
 
 @施設の減価償却費 34,650 千円/年 (土木建築20年、設備10年耐用)
 A維持管理費の合計 34,900 千円/年 (電力,燃料,消耗品,薬剤,補修,分析費,他)
 B年償却費と維持管理費の合計 69,550 千円/年
 C製品販売収入 35,000 千円/年 ( 19,444 円/炭化物トン)
 D年間処理経費合計 34,550 千円/年 (年償却費+維持管理費-販売収入)
(3)処理経費原単位等  
 

 
 @乾燥ふん1トン当たり 5,713 円/トン 11.5千円/トン(販売益相殺なし)(水分40%)
 A飼養家畜頭羽数当たり 115,167 円/千羽・年 231.8千円/千羽・年(販売益相殺なし)
 B製品炭化物1トン当たり 19,194 円/トン 38.6千円/トン(販売益相殺なし)

9.導入に当たっての留意点(当該技術を導入するに当たっての留意点等)

(1) 原料ふんの性状によって、炭化物の処理能力にが異なるため、設計段階で十分配慮する。
(2) 施設の運転はほとんど機械化、自動化されているが、装置の作動状況の監視等、専従者が必要である。
(3) 原料水分によっては、ドライヤを常時使用する設備とした方がよい。

10.応募施設以外の納入実績(応募施設と同一方式)


畜種飼養規模施設所在地設置年度備考
(1) 実績該当なし



11.応募施設の適用可能畜種および畜産以外の適用可能臭気

(1)適用可能畜種 全畜種 採卵鶏、ブロイラーのほか、牛、豚にも適用可能。
(2)畜産以外の適用可能原材料等 古紙、廃木材、生ごみ、汚泥ほか可燃性廃棄物(原材料の由来が不明なものは対象としない)。

U.評価結果(評価委員による評価結果)

総合評価

@ 主原料はブロイラー鶏ふんであり、6,050トン/年(水分40%換算)の大規模施設である。成型した材料を外熱式ロータリーキルン型炭化炉で処理している。できた炭化物は土壌改良材等に使用する。
A 水分45%以上の原料はロータリーキルン型乾燥機で水分40%以下に乾燥され、ペレッターで成型処理された後炭化される。外熱式炭化炉のため炭化温度が可変で、用途に応じた炭化物の生産が可能と考えられる。
B 大型処理施設であり、ダイオキシン特措法やその他の環境規制にも対応している。物質フローやエネルギーの計算書もしっかりしており技術の完成度は高い。なお、廃熱を乾燥炉に極力使用するなど改善の余地がある。
C 6,050トン/年の処理量に対し1,000m2と設置面積は少ない。施設運転のほとんどが機械化・自動化されているが専従作業員が必要である。正味の炭化物の生産費は27千円/製品トンと高額であるので、今後は吸湿材等、炭化物の用途拡大も検討すべきであろう。
D ブロイラー以外の畜種では、材料水分が高くなり、処理コストも高くなるため導入は困難と考えられる。一方、処理コストの負担を求めることのできる廃棄物(廃木材や汚泥)処理施設としての展開が有効と考えられる。

評価チャート

評価年月日

V. 施設説明写真


受入ホッパ

全景

炭化機入口部

炭化物

入庫原料

排ガス冷却装置