炭化処理技術の事例紹介と評価

[連続式縦型炭化炉]

T.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

日本車輌製造株式会社

1.処理方式の区分

連続式 縦型炭化炉 (流動層炉)

2.問い合わせ先・担当者

エンジニアリング本部 環境施設部
〒020-0125 岩手県盛岡市上堂3丁目8-44 プレシード第1ビル1F
TEL:019-648-6161 FAX:019-648-6165
技術を参照できるURL:www.n-sharyo.co.jp
お問い合わせ:NS-MORIOKA@cm.n-sharyo.co.jp

3.応募施設の基本的事項

(1)商品名
  型式等の区分
連続式縦型炭化処理施設(流動層方式)
(2)処理対象 動物のふん尿(鶏ふん):(ブロイラー鶏ふん)
(3)原料処理量 59トン/日炭化炉投入原料(水分30%)換算(設計値)
(4)製品形態 炭化物(販売)
(5)施設概要 ブロイラー鶏ふんを乾燥・炭化処理し炭化物を製造する施設

4.設置されている畜産経営の概要

(1)飼養畜種・飼養規模
 @飼養畜種ブロイラー
 A飼養規模 1,263 千羽
 Bふん尿量 52 トン/日 (水分42〜55%)
(2)畜舎構造木造平屋建て及び2階建て
(3)畜舎面積82,000 m2
(4)堆肥化、汚水処理施設の有無
 @堆肥化処理施設なし
 A汚水処理施設なし
(5)自己所有のほ場面積0m2
(6)堆肥・焼却残渣等
  自家施用量
0 トン/年
(7)施設所在地岩手県 

5.応募施設の設計概要(計画)

(2)主機となる設備 流動層方式炭化炉
(3)施設設置年月日 2004年11月
(4)処理対象 動物のふん尿(鶏ふん):(ブロイラー鶏ふん)
(5)施設のシステム構成 本施設は、フローシートに示したように、原料棟に持ち込まれた鶏ふんを破砕気流乾燥を行い、水分30%程度、粒度5mm以下の炭化原料として整える。,炭化原料は工場棟の炭化装置の原料ホッパに搬送される。炭化原料は流動層方式炭化炉に連続的に供給され、炉下部からは流動空気が連続的に供給され、炭化が継続する。炭化鶏ふんは水分20%程度に加水調湿・冷却され粉体製品タンクへ搬送される。,炭化炉で発生した炭化排ガスは排ガス処理設備で乾燥排ガスと混合し、800℃以上で燃焼処理後、200℃程度まで冷却し、集塵して大気放出する。冷却過程で熱交換が行われ、燃焼空気の予熱・造粒品の乾燥熱源として利用される。また、冷却途中の燃焼ガスの一部が原料乾燥用熱源として利用される。,粉体製品タンクに貯留された粉状の炭化品は、需要に合わせて顆粒状に造粒され、造粒品タンクに貯留される。,粉体製品タンク・造粒品タンクに貯留されている製品は計量し、ポリ袋に包装し、ロボットによってパレット積みされる。
(6)付帯設備 炭化排ガスの燃焼処理ガスの廃熱を、燃焼空気予熱・原料乾燥熱源・造粒乾燥熱源に用いる。
(7)施設の特徴
@ 前処理において、破砕乾燥方式を採用しているため、炭化原料の水分・粒度を調整し易い。
A 炭化装置の炭化過程においては流動空気を吹きいれているのみで、動く機器がなく、メンテナンスが容易。
B 乾燥及び炭化過程で生じる排ガスは排ガス処理設備で完全燃焼処理し、焼却炉の構造基準に適合した処理を実施している。
C 燃焼廃熱を熱交換または燃焼ガス分岐導入により、サーマルリサイクルを積極的に行っているため、化石燃料の使用が少ない。
D 炭化物は、融雪材・土壌改良材として、環境保全資材利用、農業利用等として各種用途に利用できる。
E 施設の運転はほとんど機械化、自動化されているが、装置の作動状況の監視等、専従者が必要である。
(8)処理能力
@ 計画炭化能力 2,448kg/時  炭化炉投入原料(水分30%)換算
設計処理能力:2.56kg/時(乾燥前鶏ふん換算)×24時間/日,炭化工程で助燃の必要無し、排ガス処理設備バーナ燃焼能力:336L/時(A重油)
A 計画炭化時間 24時間/日
B 燃料燃焼能力 336L/時(排ガス処理設備)
(9)処理性能
@ 排ガス処理目標 廃棄物の処理及び清掃に関する法律、大気汚染防止法、ダイオキシン特措法規制基準以下
A 製品用途 融雪材、土壌改良材 ・ 販売
B 基準を満足する根拠 ダイオキシン類:800℃以上で燃焼→200℃まで冷却→飛灰集塵
HCl・SOX・NOX:ブロイラー鶏ふん焼却・炭化実績において、環境基準以内
ダスト:燃焼ガス排出前にバグフィルタにて集塵
(10)製品化設備と製品貯留設備
@ 製品化設備 製袋機(粉:250円/40L/粒:300円/15kg袋入)
A 製品貯留設備 屋外貯留
(10)施設設置面積 13,500u

6.応募施設の稼働状況(実績)

(1)施設の稼動実績
 @実稼動炭化処理量2,120kg/時炭化炉投入原料(水分30%)換算,1,650〜2,120kg/時(乾燥前鶏ふんの水分による)
 A稼動時間24時間/日
 B年間稼動日数300日/年
 C炭化温度450
 D使用燃料 (補助燃料:無し)
 E燃料使用量0kL/年炭化では燃料を使用しない(排ガス処理設備で360kL/年)
(2)施設の運転にかかわる日常作業量
 @常勤者  延べ時間延べ48時間/週管理1名、運転・保守6名、包装作業員1名 計8名(8人×8時間/日×6日/週)
 A非常勤者 延べ時間延べ0時間/週
(3)残渣の発生量とその処理3,314トン/年(原料乾物基準収率 22%)
(4)排ガス対策等
 @排ガス量5,797Nm3/時(熱分解ガス発生量)
 Aばい煙対策バグフィルタ集塵
 B塩化水素対策環境基準以下
 CNOx対策環境基準以下
 DSOx対策環境基準以下
 Eダイオキシン対策焼却炉の構造基準に適合:800℃以上で燃焼後冷却・集塵

7.機能調査の分析例


8.処理経費(応募施設の実績)

(1)処理施設の建設費
  (土木建築、設備機器)


備考
 施設建設費 1,023,666 千円
(2)年間処理経費


 @施設の減価償却費 83,060 千円/年 (土木建築20年、設備10年耐用)
 A維持管理費の合計 69,000 千円/年 (電力,燃料,薬剤,補修,分析費,他)
 B年償却費と維持管理費の合計 152,060 千円/年
 C製品販売収入 69,000 千円/年 ( 20,821 円/炭化物トン)
 D年間処理経費合計 83,060 千円/年 (年償却費+維持管理費-販売収入)
(3)処理経費原単位等


 @乾燥ふん1トン当たり 5,442 円/トン 10.0千円/トン(販売益相殺なし)(水分30%)
 A飼養家畜頭羽数当たり 65,759 円/千羽・年 120.4千円/千羽・年(販売益相殺なし)
 B製品炭化物1トン当たり 25,063 円/トン 45.9千円/トン(販売益相殺なし)

9.導入に当たっての留意点(当該技術を導入するに当たっての留意点等)

(1)施設の運転はほとんど機械化、自動化されているが、装置の作動状況の監視等、専従者が必要である。
(2)規模によっては、造粒・計量包装設備を省略することもできる。

10.応募施設以外の納入実績(応募施設と同一方式)


畜種飼養規模施設所在地設置年度備考
(1)ブロイラー15,000t/年岩手県 1994年(乾燥前原料鶏ふん15,000t/年)
(2)



(1994年新設、2003年予備乾燥設備増設)

11.応募施設の適用可能畜種および畜産以外の適用可能臭気

(1)適用可能畜種 全畜種 採卵鶏、ブロイラーのほか、牛、豚にも適用可能であるが、原料水分が高く、化石燃料の使用量が高くなる。
(2)畜産以外の適用可能原材料等 古紙、廃木材、生ごみ、汚泥ほか可燃性廃棄物(原材料の由来が不明なものは対象としない)。

U.評価結果(評価委員による評価結果)

総合評価

@主原料はブロイラー鶏ふんであり、年間処理量15,700t(水分47%)の大型処理施設である。炭化は、流動層炉で処理している。できた炭化物は粉状のものと、成型品を小袋詰めして融雪材や土壌改良材として出荷している。
A原材料(水分47%)は水分30%まで、脱臭炉の廃熱を利用した破砕気流乾燥装置で乾燥している。このため、乾燥の燃料消費量が抑えられると共に、5mm以下に破砕されるので、乾燥物はそのまま炭化処理ができる特徴がある。
B大型処理施設であり、ダイオキシン特措法やその他の環境規制にも対応している。物質フローやエネルギーの計算書もしっかりしており技術の完成度は高い。
C処理量15,000トン/年に対し1,500m2と設置面積は少ない。施設運転のほとんどが機械化・自動化されているが専従作業員が必要である。正味の炭化物の生産費は36千円/製品トンと高額であるので、今後は吸湿材等、炭化物の用途拡大も検討すべきであろう。
Dブロイラー以外の畜種では、材料水分が高くなり、処理コストも高くなるため導入は困難と考えられる。一方、処理コストの負担を求めることのできる廃棄物(廃木材や汚泥)処理施設としての展開が有効と考えられる。

評価チャート

評価年月日

V.施設説明写真


施設全景

原料乾燥設備

造粒設備

炭化設備

排ガス処理設備

配置説明図