炭化処理技術の事例紹介と評価

[連続式横型炭化炉] (参考施設)

T.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

志摩E&W有限会社

1.処理方式の区分

連続式 横型炭化炉 (ロータリーキルン)

2.問い合わせ先・担当者

技術 小池正志
〒819-1104 福岡県前原市波多江602-1
TEL:0923-23-6249 FAX:0923-23-6293
技術を参照できるURL:http://www1.bbiq.jp/sima
お問い合わせ:sima-eandw@har.bbiq.jp

3.応募施設の基本的事項

(1)商品名
  型式等の区分
連続式横型炭化処理施設
(2)処理対象 家畜ふん尿
(3)原料処理量 12トン/日炭化炉投入原料(水分65%)換算(0.5トン×24時間/日)
(4)製品形態 炭化物敷料
(5)施設概要 家畜ふん尿(主に肥育、乳牛)を畜舎より回収し、乾燥、炭化処理して乾物(敷料)を製造する施設

4.設置されている畜産経営の概要

(1)飼養畜種・飼養規模
 @飼養畜種 乳用牛
 A飼養規模 150
 Bふん尿量 7.5 トン/日 (水分65〜80%)(50頭×0.05トン/頭・日=7.5トン/日)
(2)畜舎構造乳用牛:群飼
(3)畜舎面積 2,000 m2
(4)堆肥化、汚水処理施設の有無
 @堆肥化処理施設 あり (堆積型堆肥舎:炭化原料の保管施設)原料処理量12トン/日、施設面積1000m2、発酵槽面積200m2
 A汚水処理施設 なし
(5)自己所有のほ場面積 6,000 m2 ほ場(草地)
(6)堆肥・焼却残渣等
  自家施用量

トン/年 (炭化物は全量敷料に使用)
(7)施設所在地 青森県 

5.応募施設の設計概要(計画)

(1)フローシート

(2)主機となる設備 乾燥炭化炉
(3)施設設置年月日 2000年9月
(4)処理対象 家畜ふん尿
(5)施設のシステム構成 本施設は、フローチャートに示したように、家畜糞尿を内部二重管回転式炭化炉で、乾燥・炭化処理し、乾物(敷料)を製造する施設である。なお、熱分解ガスおよび臭気は燃焼室へ再循環し、炭化炉の補助熱源の一部として利用する。
(6)付帯設備 核当なし
(7)施設の特徴
@ 連続式炭化炉のため、立ち上げ、立ち下げの際に生ずる熱ロスがほとんどない運転が可能である。
A 熱分解ガスを補助燃料として有効利用しているため、燃料の使用量が少ない。
B 乾燥炭化物は、敷料として再利用する。
C 施設の運転はほとんど機械化、自動化されているが、装置の作動状況の監視等、専従者が必要である。
(8)処理能力
@ 計画炭化能力 500kg/時  炭化炉投入原料(水分65%)換算
A 計画炭化時間 24時間/日
B 燃料燃焼能力 45L/時
(9)処理性能
@ 排ガス処理目標 大気汚染防止法基準以下
A 製品用途 敷料として自家使用
B 基準を満足する根拠  
(10)製品化設備と製品貯留設備
@ 製品化設備 製品貯留設備:製品貯蔵庫
A 製品貯留設備 核当なし
(10)施設設置面積 100u

6.応募施設の稼働状況(実績)

(1)施設の稼動実績
 @実稼動炭化処理量500kg/時炭化炉投入原料(水分65%)換算
 A稼動時間8時間/日
 B年間稼動日数300日/年
 C炭化温度650
 D使用燃料A重油

 E燃料使用量260kL/年
(2)施設の運転にかかわる日常作業量
 @常勤者  延べ時間延べ40時間/週(1人×8時間/日×5日/週)
 A非常勤者 延べ時間延べ0時間/週
(3)残渣の発生量とその処理120トン/年(収率 10%、原料水分75%換算)
(4)排ガス対策等
 @排ガス量500Nm3/時(熱分解ガス発生量)
 Aばい煙対策乾式サイクロン
 B塩化水素対策燃料に含有しないので対策なし
 CNOx対策 基準値以下なので対策なし
 DSOx対策 基準値以下なので対策なし
 Eダイオキシン対策 発生源が無いため対策なし

7.機能調査の分析例


8.処理経費(応募施設の実績)

(1)処理施設の建設費
  (土木建築、設備機器)
 

備考
 施設建設費 49,000 千円 (土木建築なし、設備のみ)
(2)年間処理経費


 @施設の減価償却費 4,410 千円/年 (土木建築なし、設備10年耐用のみ)
 A維持管理費の合計 6,180 千円/年 (電力,燃料,消耗品,補修,分析費)
 B年償却費と維持管理費の合計 10,590 千円/年
 C製品販売収入 0 千円/年
 D年間処理経費合計 10,590 千円/年 (年償却費+維持管理費-販売収入)
(3)処理経費原単位等  
 
 
 @乾燥ふん1トン当たり 8,825 円/トン (水分65%)
 A飼養家畜頭羽数当たり 70,600 円/頭・年
 B製品炭化物1トン当たり 88,250 円/トン

9.導入に当たっての留意点(当該技術を導入するに当たっての留意点等)

(1)原料糞の性状によって、炭化物の性能が大きく異なるので、原材料管理に十分配慮する。
(2)施設の運転はほとんど機械化、自動化されているが、装置の作動状況の監視等、専従者が必要である。

10.応募施設以外の納入実績(応募施設と同一方式)


畜種飼養規模施設所在地設置年度備考
(1)肉用牛 8,000頭 熊本県  2005年
(2)乳用牛 150頭 宮崎県  2003年

11.応募施設の適用可能畜種および畜産以外の適用可能臭気

(1)適用可能畜種 全畜種 牛、採卵鶏、ブロイラーの外、豚にも適用可能である。
(2)畜産以外の適用可能原材料等 食品残渣、製紙スラッジ、廃木材、ほか有機性廃棄物。

U.評価結果(評価委員による評価結果)

総合評価

評価チャート

@炭化装置本体は処理温度650℃で、外熱式、耐熱鋼製円筒式横型(ロータリーキルン)で高水分(65〜80%)にも対応可能である。処理部の二重管構造が特徴で、外熱式の特性として乾燥・炭化条件の制御に有利である。
A熱分解ガス、臭気ガスは燃焼室に循環され、炭化炉の補助熱源として有効利用される。処理能力は、大型畜産農場向けとして設計されている。
Bシステムフローは、目視による異物除去→定量切り出しホッパー→炭化炉本体→水冷式スクリューコンベア→排出コンベアで、排ガスは乾式サイクロンで除じんされ、大気汚染防止法基準をクリアしている。
C運転は自動化されているが、常時、運転監視者が必要。焼却炉の扱いでないのでダイオキシンは自主測定である。本施設はバーナーの燃料消費量が45L/時で基準(50L/時)以下であるため、大気汚染防止法のばい煙発生施設の適用も受けない。
D本施設は、高水分対応、8時間運転のため、この種の装置としては処理原料1トン当たりのランニングコストが割高になっている。
E本方式は、低水分畜ふんの炭化処理に適用可能な設計であるが、提示例では炉内反応についての説明と炭化製品の化学分析、品質について説明がなかったことおよび高水分ふんの炭化は畜産における一般的普及にはコストの点に難があるとの視点から参考例として紹介した。

総合評価

評価チャート

評価年月日

V. 施設説明写真


工場検査

設置例

製品排出

青森設置

投入ホッパー