脱臭技術の事例紹介と評価

[中和・洗浄脱臭方式]

T.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

中国工業株式会社

1.処理方式の区分

中和・洗浄脱臭方式  薬剤洗浄法 (薬液噴霧法)

2.問い合わせ先・担当者

環境機器事業部  檀上敏治
〒737-0192 広島県呉市広名田1-5-5
TEL:0823-72-1615 FAX:0823-70-0019
技術を参照できるURL:ckk-chugoku.co.jp/
お問い合わせ:ckk_frp-g@nifty.com

3.応募施設の基本的事項

(1)商品名,型式等の区分 BM(バイオミメティック)消臭法
(2)処理対象 牛ふん+汚泥堆肥化施設の悪臭
(3)処理風量 100+300m3/分
(4)施設概要 密閉式堆肥化施設から発生する悪臭を捕集、誘引し、BM(バイオミメティック)消臭スクラバーによるBM消臭装置。
(運転は、設置施設の臭気発生条件等に合わせて行う。)

4.設置されている畜産経営の概要

(1)飼養畜種・飼養規模
 @飼養畜種 牛ふん12.5トン/日(対象9戸=250頭)、きのこ廃オガクズ16.1トン/日、下水汚泥2.3トン/日
 A飼養規模 250 頭   (堆肥センター)
 Bふん尿量 12.5 トン/日
(2)畜舎構造  堆肥舎構造:強制通気堆積型+吸気・送気微生物発酵方式を採用、計測システムを併用し発酵状態の管理(品質管理)をし、良質堆肥の生産ができるシステムである。
 (荷受け室、前処理室、原料置き場、ペレット置き場、生成物置き場、後熟槽、1次発酵槽、廃オガ乾燥層)
(3)畜舎面積 4,067 m2
(4)堆肥化、汚水処理施設の有無
 @堆肥化処理施設 あり 堆肥生産量(年間)3,150トン(6,300m3)、汚泥堆肥270トン(540m3
 A汚水処理施設 あり (浄化槽へ排水)
(5)施設所在地 長野県 

5.応募施設の設計概要(計画)

    (1)フローシート

(2)主機となる設備 BM消臭スクラバー
(3)施設設置年月日 1997年6月
(4)処理対象 牛ふん+汚泥堆肥化施設の悪臭
(5)施設のシステム構成  本施設は、密閉式堆肥舎から発生する臭気を、SUS製スパイラル消臭ダクトを介して吸引ファンによって消臭装置に導く。消臭装置は大きく分けて2つの工程からなり、前段で、水洗スクラバーにより主に油脂・粉塵とアンモニアなどの臭気を軽減させて、後段で、BM(バイオミメティック)消臭スクラバーにより前段で処理できなかった臭気を軽減し、大気中に放出する。
(6)付帯設備 該当しない。
*既施設は、生糞、水分調整、一次発酵槽排風を二次発醇棺等経由し、臭気軽減をさせ消臭装置へ。臭気軽減後外気へと放出している。
(7)施設の特徴
@  水洗スクラバーを前置して主にアンモニア等の濃度を低減させることにより、後置したBM(バイオミメティック)消臭スクラバーで軽減するため、高い消臭効率が得られるとともに、消臭液(金属フタロシアニン)への負荷が軽くなり、BM消臭スクラバー単独に比べ、消臭効果がより長期間持続します。
A  施設の運転はほとんど自動化されているので、機械の異常等が発生しない限り、日常の管理作業は見回り、確認程度である。(点検確認が容易にできるようにBM消臭剤の散布ノズル部とスクラバーへの有臭排気吹き込み部に、マンホール兼用の点検窓を設置している。)
(8)処理能力
 @ 計画処理風量 400m3/分  (100+300m3/min)×24時間
 A 計画運転時間 24時間/日
(9)処理性能
 @ 脱臭排ガス処理目標 実機テストにて確認後、協議する。
(10)施設設置面積 60u  (消臭施設のみ)

6.応募施設の稼働状況(実績)

(1)施設の稼動実績
 @実稼動処理風量400m3/分100+300m3/min
 A稼動時間24時間/日堆肥の状況によって稼動時間を調整
 B年間稼動日数365日/年堆肥の状況によって稼動時間を調整
(2)施設の運転にかかわる日常作業量
 @常勤者  延べ時間延べ2.5時間/週(1人×0.5時間/日×5日/週)
 A非常勤者 延べ時間延べ0時間/週
(3)残渣の発生量とその処理
トン/年浄化槽へ排水。

7.機能調査の分析例


8.処理経費(応募施設の実績)

(1)処理施設の建設費
  (土木建築、設備機器)


備考
 施設建設費 51,000 千円 (土木建築なし、設備のみ)
(2)年間処理経費


 @施設の減価償却費 3,060 千円/年 (土木建築なし、設備15年耐用のみ)
 A維持管理費の合計 7,500 千円/年 (内訳不明)
 B年償却費と維持管理費の合計 10,560 千円/年
 C製品販売収入 0 千円/年 該当なし
 D年間処理経費合計 10,560 千円/年 (年償却費+維持管理費-販売収入)
(3)処理経費原単位等


 @ふん尿処理量1トン当たり 2,315 円/トン
 A飼養家畜頭羽数当たり 42 千円/頭・年
 B出荷豚1頭当たり


9.導入に当たっての留意点(当該技術を導入するに当たっての留意点等)

(1) 臭気によって、消臭液剤の調整が必要である。
(2) 自治体の規制によって、設備の性能検討が重要である。

10.応募施設以外の納入実績(応募施設と同一方式)

 
事業所飼養規模施設所在地設置年度備考
(1)生ごみ堆肥工場
熊本県 

(2)養魚飼料製造工場
鹿児島県

(3) 化学工場
山口県 

(4) 食品加工工場
茨城県 

11.応募施設の適用可能畜種および畜産以外の適用可能臭気

(1)適用可能畜種 全畜種 乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー、すべての畜種の畜舎、堆肥舎等から発生する臭気に対応可能。
(2)畜産以外の適用可能原材料等 食品産業、飲食店、生ごみ処理、汚水処理ほか各種臭気に対応可能。

3. 施設説明写真

U.評価結果(評価委員による評価結果)

総合評価

@密閉式堆肥舎からの臭気ガスを水と薬液によって2段階のスクラバ−で洗浄脱臭する一般的なスクラバ−脱臭方法であり、洗浄水の管理を設定どおりに行うことで所定の脱臭性能は維持できる。
A2段目の脱臭塔でBM消臭液を使用する方法であるが、この薬液消臭の効果がデ-タとして確認されていない。どのような臭気性状の条件で効果が発揮できるのか、特に処理コストに影響するので普及の段階で十分に検討する必要がある。
Bスクラバ-方式の施設であるので比較的コンパクトにまとまっており、広い面積を必要としない。しかし、脱臭処理後の廃液が排出するので、液肥等として利用できない場合は廃水処理が必要な場合が生じる。普及に当たっては留意が必要である。
C処理コストが非常に高い。特に維持管理費が高いので普及に当たっては留意が必要である。また、家畜ふん尿由来の脱臭処理の実施例が他にない。各種の臭気成分や粉じん等の濃度に対応する設計技術を保有しているか、十分な検討が必要である。

評価チャート

評価年月日

V. 施設説明写真


BM消臭装置(全体)