堆肥化技術の事例商会と評価

[ 生物脱臭方式 ]

1. 処理施設の概要（企業からの情報に基づき作成したものである）

企業名

有限会社　ヂー・エヌ・エス・テクノセールス

処理技術、処理方式の区分

生物脱臭装置

問い合わせ先・担当者

代表取締役　佐藤　徳三
〒377-0007群馬県渋川市石原138番地3
TEL 0279-23-4326 FAX 0279-23-4552 　
お問い合わせE-mail gunma-needs-satou@amber.plala.or.jp

技術の概要

1．技術の名称：
高濃度アンモニア含有臭気の生物脱臭装置
(ファイバーボール脱臭装置)
2．技術のシステム構成
本施設は、フローシートに示したように、密閉縦型醗酵装置から発生する臭気を付属の排気ファンで脱臭装置下部の拡散層から上向流で通気する。微生物担体が充てんされた脱臭層を臭気ガスが通過するときに担体表面の微生物がアンモニアを吸着・分解し、臭気の低減した処理ガスを放出する。
3．技術を説明する基本的原理等
当該技術は、粒径の異なる繊維造粒物（ファイバーボール）を微生物担体として脱臭槽に充てんし、その表面に棲息する有用微生物により、発酵槽排ガス中の高濃度のアンモニア(2,000ppm)を吸収・分解して臭気除去を行う。臭気成分の吸収、生物の生育に必要な水分は、定期的な散水で補給する。
4．処理技術の概略フロー
　
5．技術の特徴
6.技術の適用範囲

設置されている畜産経営の概要

(1)飼養畜種・飼養規模：肥育豚　3,000頭
（全量密閉縦型醗酵機で堆肥化処理時に発生する臭気を対象）
(2)畜舎構造・畜舎面積
　ふん尿分離豚舎　畜舎面積は確認不能
(4)施設所在地
　群馬県

技術の設計概要

1．設計諸元と施設概要
(1) 設計諸元と設計概要（換気回数、LV、SV、接触時間、L/G等）
① 換気回数：なし
② （洗浄塔）液ガス比（L/G）：なし
③ 脱臭層の線速度、空塔速度：LV1.2m3/m2・分（20mm/秒）、SV51.4m3/m3・時（0.86回/分）
④ 接触時間：約70秒
(2) 処理性能（（設計値））
① 設計処理風量：18m3/分×24時間/日
② 悪臭ガス：臭気指数50（脱臭装置入口）
③ 処理ガス：臭気指数37（排出口）
(3) 施設の設置面積
密閉縦型醗酵機の標準装備の排気ファン能力で1.2m2/処理風量1m3/分
2．処理施設の概要
(1) 脱臭施設の設置年月
2008年12月
(2) 施設の処理能力、処理風量および換気回数
処理能力：18m3/分（実処理風量12m3/分×24時間/日で醗酵機付属の排気ファンにて全量を受け入れ）
(3) 対象悪臭源
密閉縦型醗酵機（コンポシリーズ：中部エコテック製）の排ガスを対象
(4) 施設設置面積
施設設置面積：18m2
(5) 施設の運転にかかわる日常作業量
作業者0.5時間×1人/週
(6) 堆肥化、汚水処理施設の有無
堆肥化施設　：あり（密閉縦型醗酵機）
汚水処理施設：あり（複合ラグーン方式）
(7) その他の付帯設備（発電、余熱利用等）
該当なし
3．施設の機能（機能調査例）
機能調査の分析例（2009年02月09日環境計量士測定）
アンモニア 臭気指数 臭気濃度
原臭 1800 51 130000
処理臭（脱臭装置上部） 75 37 13000
脱臭装置より5ｍ離れた場所 0.23 10未満 10未満
注）臭気指数、臭気濃度を除きppm


処理経費（応募施設の実績または試算値）

１． 土木・建築費 2,821千円
2． 機械設備費 3,889千円
3. 建設費の合計 6,710千円
4. 減価償却費
ａ． 土木・建築の減価償却費（建設費×0.9÷15年＝年当たり償却費）
2,821千円×0.9÷15年＝169千円/年
ｂ． 機械設備の減価償却費（設備費×0.9÷7年＝年当たり償却費）
3,889千円÷7年＝1,029千円/年
ｃ． 施設の減価償却費合計：1,198千円/年
5． 維持管理費の合計 547千円/年
6． 年間処理経費合計 1,745千円/年
7． 処理経費原単位
① 飼養家畜1頭あたりの経費
飼養家畜頭数：母豚230頭
（ふんを密閉縦型発酵機で堆肥化処理した臭気を対象）
1,745千円/年÷230頭＝7千円/頭
② 出荷豚1頭当たりの処理経費
母豚が1年に20頭産む計算
1,745千円/年÷（230頭×20頭/年）＝379円/頭
④ 設計処理風量1m3/日当たり
1,745千円/年÷（18m3/分×24時間/日）＝4,039円/（m3/日）
8. ユーティティコスト等
① 建設コスト：処理風量1m3/分あたり
母豚１頭当たり
(出荷豚1頭/年あたり		 427千円
33千円
)
② ランニングコスト：処理風量1m3/分あたり
母豚１頭当たり
(出荷豚1頭あたり		 55円
??千円/年
)
③ 定格電力：処理風量1m3/分あたり　 0.02ｋｗ
④ 燃料使用量：なし
⑤ 薬剤使用量：なし
⑥ 10年スパンの主要な定期点検、交換部品等
機器 点検・交換 点検・交換頻度 点検・交換費用(概算) 耐用年数 員数 本体価格
散水ノズル 分解点検 １か月 　　 － 一式
散水用ポンプ 分解点検 １年 10万円 － 一式

導入に当たっての留意点（当該技術を導入するに当たっての留意点等）

脱臭を行う臭気のアンモニア濃度が平均して5000ppm以上の際には、アンモニア濃度を下げる措置が必要である。また、敷地境界線付近での設置は、装置の能力が90％除去であることを考慮して導入していただきたい。

納入実績

畜種 飼養規模 施設所在地 納入年次
(1) 肥育豚 1,500頭 群馬県 2002年
(2) 肥育豚 200頭 群馬県 2006年
(3) 肥育豚 3,000頭 群馬県 2008年

処理経費（応募施設の実績または試算値）

本技術の適用可能畜種および畜産以外の適用可能原材料

（１） 適用可能畜種
乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー、すべての畜種の畜舎、堆肥舎、醗酵機等から発生する臭気に対応可能。
（２） 畜産以外の適用可能原材料
生ごみ処理、汚水処理等の各種臭気に対応可能。

2. 評価結果（評価委員会による評価結果）

総合評価

  1. 密閉縦型堆肥化装置から発生する、アンモニア1,000ppm以上の高濃度臭気を1/10程度低減生物脱臭装置である。
  2. 高濃度臭気に対応が可能であるが、低減効果は1/10程度であるため、敷地境界から15ｍ以上の余裕をもって設置場所を選定することが必要である。
  3. 密閉縦型堆肥化装置１基当たりの設置面積は約15m2で、比較的小スペースタイプである。コンクリート打設等を伴うが、施工は簡便と推測される。
  4. 維持管理で散水操作を必要とするが、自動散水のため操作は簡便である。
  5. ランニングコストは送風機と散水ポンプの電力費が大半で、比較的廉価である。

評価チャート

評価年月日 2010/2/26

FB脱臭装置納入例