焼却技術の事例紹介と評価

[連続式横型焼却炉]

T.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

ユエスビ

1.処理方式の区分

連続式 横型 ストーカ 焼却炉

2.問い合わせ先・担当者

畜産設備課 首藤末男
〒710-0027 岡山県倉敷市西田649-5
TEL:086-428-6369 FAX:086-428-6369
お問い合わせ:qqx792k9k@road.ocn.ne.jp 

3.応募施設の基本的事項

(1)商品名
  型式等の区分
焼却処理施設、連続式焼却炉
(2)処理対象 鶏ふん
(3)原料処理量 1.8トン/日(水分30%)
(4)製品形態
(5)施設概要 乾燥鶏ふんを連続運転式焼却炉で焼却、減溶化する施設

4.設置されている畜産経営の概要

(1)飼養畜種・飼養規模
 @飼養畜種採卵鶏

 A飼養規模1,200千羽
 Bふん尿量120トン/日(このうち10%のふんを焼却処理、水分70%)
(2)畜舎構造採卵養鶏、ウインドレス
(3)畜舎面積21,000 m2
(4)堆肥化、汚水処理施設の有無
 @堆肥化処理施設あり 
 A汚水処理施設あり(焼却炉からの排水無し)
(5)自己所有のほ場面積
m2  なし
(6)堆肥・焼却残渣等,  自家施用量
トン/年全量販売
(7)施設所在地岩手県

5.応募施設の設計概要(計画)

(1)フローシート

(2)主機となる設備 ロータリー乾燥機、焼却炉
(3)施設設置年月日 2005年11月
(4)処理対象 鶏ふん
(5)施設のシステム構成 本施設は、フローチャートに示したように、鶏ふんを主体とした各種の家畜ふんを連続運転式焼却炉で燃焼し、減溶化する施設で、焼却残渣は販売して、経営外に搬出する。, 燃焼排ガス中の余熱は熱交換し、畜ふん自然乾燥施設(水分率30%以下に乾燥)の床暖房の熱源および燃焼空気として与熱源として利用する。
(6)付帯設備 余熱を乾燥ロータリー乾燥装置に利用している。,150,000kcal/h
(7)施設の特徴
@ 連続焼却炉のため、処理量が多くなる。
A 燃焼排ガスの余熱を熱源として利用するため、乾燥促進と、燃料の節約ができる。
B 施設の運転はほとんど自動化されているので、立ち上げ、たち下げ、乾燥鶏ふんのホッパー投入時以外の日常管理は機器類の確認程度である。
C 機械の使用環境が改善されるため、機器の保守管理費の軽減がはかれる。
D 乾燥による減量化で2倍の処理が可能となる(生ふん水分50%換算)。
E 高床ロータリー乾燥方式を採用(床下に設置された温水配管(焼却炉の冷却水を利用)を設けるとともに、室内に排気ファンを取り付け床板のスリットから温風を噴出しふん乾燥及び冷却水のオバーヒート対策を兼用する構造)
F ロータリー攪拌乾燥方式による増粒効果で、燃焼に適したふん形状になる。生ふん換算で最大7割減となる(鶏舎内ふん搬出方式により異なる)。
(8)処理能力
@ 計画燃焼能力 75kg/時(水分30%以下)

設計燃焼能力:74.6kg/時(水分30%以下)×24時間/日
A 計画燃焼時間 24時間/日  設計燃焼能力:74.6kg/時(水分30%以下)×24時間/日
B 燃料燃焼能力 20L/時  最大(通常時 0L/時)
C 火格子面積 1.1m2
(9)処理性能
@ 排ガス処理目標 大気汚染防止法、ダイオキシン特措法基準以下
A 製品用途 焼却灰肥料、自家利用
B 基準を満足する根拠 (肥料取締法、廃掃法溶出基準以下),(原材料が家畜ふんのみであり、通常の状態で肥料取締法、溶出基準を満足する)
(10)製品化設備と製品貯留設備
@ 製品化設備
A 製品貯留設備 全量販売
(10)施設設置面積 80u

6.応募施設の稼働状況(実績)

(1)施設の稼動実績
 @実稼動燃焼処理量 74.6 kg/時 74.6kg/時×24時間/日 (水分30%以下) (火格子面積:1.1 m2、燃焼温度900℃)
 A稼動時間 24 時間/日
 B年間稼動日数 365 日/年 農場による
 C燃焼温度 800 以上
 D使用燃料 灯油

 E燃料使用量 3.75 kL/年
(2)施設の運転にかかわる日常作業量
 @常勤者  延べ時間延べ0.2時間/週 (1人×0.1時間×2回/週・5日)
 A非常勤者 延べ時間延べ0時間/週
(3)残渣の発生量と
  その処理
144トン/年 (焼却灰肥料を全量販売)
(4)排ガス対策等
 @排ガス量1,333Nm3/時
 Aばい煙対策サイクロン集塵装置
 B塩化水素対策
 CNOx対策
 DSOx対策
 Eダイオキシン対策 燃焼管理(自動制御)

7.機能調査の分析例


8.処理経費(応募施設の実績)

(1)処理施設の建設費
  (土木建築、設備機器)


備考
 施設建設費 31,100 千円
(2)年間処理経費


 
 @施設の減価償却費 2,079 千円/年 (土木建築20年、設備10年耐用)
 A維持管理費の合計 1,880 千円/年 (電力,燃料,消耗品,補修,分析費)
 B年償却費と維持管理費の合計 3,959 千円/年
 C製品販売収入 720 千円/年 (5,000 円/焼却残渣トン)
 D年間処理経費合計 3,239 千円/年 (年償却費+維持管理費-販売収入)
(3)処理経費原単位等  
 
 
 @乾燥原料1トン当たり 4,956 円/トン (販売益除外:6.1千円/トン)(水分30%)
 A飼養家畜頭羽数当たり 26,992 円/千羽・年 (販売益除外:3.3千円/千羽・年)
 B発生残渣当たり 22 千円/トン (販売益除外:27.5千円/トン)

9.導入に当たっての留意点(当該技術を導入するに当たっての留意点等)

(1) 自己所有のほ場等がない場合、産業廃棄物処理費用を見込む必要がある。

10.応募施設以外の納入実績(応募施設と同一方式)


畜種飼養規模 施設所在地 設置年度 備考
(1) ブロイラー
岡山県 

(2) ブロイラー
広島県 

(3) 採卵鶏
岡山県 

(4) ブロイラー
静岡県 

(5) ブロイラー
静岡県 

(6) 採卵鶏
岩手県 

(7) 採卵鶏
岩手県 

(8) 採卵鶏
岩手県 

(9) 採卵鶏
青森県 

11.応募施設の適用可能畜種および畜産以外の適用可能臭気

(1)適用可能畜種
(2)畜産以外の適用可能原材料等

U.評価結果(評価委員による評価結果)

総合評価

@技術的完成度は鶏ふんの焼却処理を中心に実績もあり、完成された装置である。燃焼方式はストーカ方式であり、不具合は発生しにくい。ただし乾燥した鶏ふんを対象として開発されたものであり、処理対象物が乾燥していることが前提である。
A本事例の処理能力は200kg/時以下であるが、さらに小型のものを得意とするようである。本体の処理能力にあわせ、付帯する乾燥装置の能力に全体の処理能力が依存する。
B乾燥の熱源として燃焼熱を利用しているので、鶏ふん以外の水分の多い家畜ふん尿の処理では、乾燥装置の処理能力が問題となる。
C焼却装置とホッパーはパッケージ化されているので施工は容易である。しかし、この装置の導入の前提となるロータリー式家畜ふん尿の乾燥装置については、設置面積の確保が課題となる。
D焼却炉の起動、運転、停止とも操作性はよい。問題はロータリー式家畜ふん尿の乾燥装置の運用方法である。 また、乾燥装置から燃焼装置ホッパーへの家畜ふん尿の移送について、操作性のよいレイアウトを計画する必要がある。
E鶏ふんについては 6.2千円/原料トンと経済性に優れている。本装置はロータリー式家畜ふん尿の乾燥装置による水分調整が前提であるので、水分の多い他の家畜ふん尿についてはコストが割高になるとみられる。

評価チャート

評価年月日

V. 施設説明写真


鶏ふん焼却処理設備

高床式ロータリー攪拌乾燥床板

燃焼炉と灰置き場

サイクロン集じん機