株式会社永石エンジニアリング
連続式 縦型 流動床焼却炉
技術部 永石恭二
〒857-1164 長崎県佐世保市白岳町100-4
TEL:0956-31-5778 FAX:0956-31-5813
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(1)商品名 型式等の区分 |
流動床炉 | ||
(2)処理対象 | と畜場から発生する汚泥、スクリーン滓 | ||
(3)原料処理量 | 3.6トン/日(水分85%) | ||
(4)製品形態 | 焼却施設であるため『焼却灰』として排出 | ||
(5)施設概要 | 高水分汚泥を連続運転式焼却炉で焼却、減容化する施設。※各種家畜のふん尿や血液などの液状物も乾燥などの前処理を行わずにダイレクトに焼却が可能な焼却炉 |
(1)飼養畜種・飼養規模 | |||
@飼養畜種 | |||
A飼養規模 | 頭 | 該当無し | |
Bふん尿量 | トン/日 | 該当無し | |
(2)畜舎構造 | 該当無し | ||
(3)畜舎面積 | m2 | ||
(4)堆肥化、汚水処理施設の有無 | |||
@堆肥化処理施設 | なし | ||
A汚水処理施設 | なし | (焼却炉からの排水無し) | |
(5)自己所有のほ場面積 | m2 | 無し | |
(6)堆肥・焼却残渣等 自家施用量 |
トン/年 | 焼却残渣は産廃委託処理 | |
(7)施設所在地 | 秋田県 |
(2)主機となる設備 | 流動床焼却炉、サイクロン集塵機、汚泥供給設備、制御盤他 | |||
(3)施設設置年月日 | 1995年4月 | |||
(4)処理対象 | と畜場から発生する汚泥、スクリーン滓 | |||
(5)施設のシステム構成 | 本施設は、フローチャートに示したように、水分85%の汚泥を流動床式焼却炉で燃焼し、減容化する。焼却残渣は経営外に搬出処分する。燃焼排ガス中の余熱を熱交換して燃焼空気として利用。また、畜舎で暖房熱源や蒸気を必要とする場合は、熱交換器をオプションとして増設することが出来る。 | |||
(6)付帯設備 | 集塵設備の廃熱を燃焼用空気の予熱として利用。 | |||
(7)施設の特徴 | ||||
@ | 流動床式であるため、99%の高水分物であっても乾燥などの前処理なしで焼却が出来る。 | |||
A | 炉を停止しても、熱媒(砂)により蓄熱が維持されるため翌日の運転開始時に僅かな燃料と時間で焼却が開始できる。 | |||
B | 炉内温度が上昇してから焼却が開始され、その後、高温での一定燃焼を持続するため、立ち上げ時や立ち下げ時の負荷変動が無く、臭気や黒煙の発生が起こらない。 | |||
C | 連続式であるため、炉内への熱負荷が一定であり廃熱回収を行う際に安定した回収が出来る。 | |||
D | 熱媒の中で完全に燃焼するまで焼却灰が飛散しないため、灰箱で回収される焼却残渣に未燃物が残らない上、量も僅かとなる。 | |||
E | 廃熱回収熱交換器により燃焼空気の予熱を行うため燃料費の節約が出来る。また、温水や蒸気ボイラの併設により畜舎への暖房熱源の供給が出来る。 | |||
F | 施設の運転は、起動ボタン一つで停止まで全自動で行えるため、日常管理は機器類の確認程度である。 | |||
G | 自動停止タイマーも標準で装備しているため、夜間停止の際にも無人で行える。(実績多数) | |||
H | 縦型炉であるため設置スペースが僅かで済む。 | |||
I | 他形式炉と比較して、過剰空気を低く抑えながら運転が出来るため、燃料費が僅かで済む。 | |||
J | 炉内は200mm厚のキャスタブル構造となっており、可動部の一切無いので堅牢であり、耐久性が高い。 | |||
(8)処理能力 | ||||
@ | 計画燃焼能力 | 171kg/時 (水分85%)焼却灰強熱減量:3%以下 | ||
A | 計画燃焼時間 | 21時間/日 | ||
B | 燃料燃焼能力 | 33L/時 脱水汚泥焼却時 | ||
C | 火格子面積 | 0.423m2 | ||
(9)処理性能 | ||||
@ | 排ガス処理目標 | 大気汚染防止法、ダイオキシン特措法基準以下 | ||
A | 製品用途 | 焼却灰肥料として利用可 | ||
B | 基準を満足する根拠 | (肥料取締法、廃掃法溶出基準以下),(原材料が家畜ふんのみであれば、肥料取締法(溶出基準を含む)の基準を満足する) | ||
(10)製品化設備と製品貯留設備 | ||||
@ | 製品化設備 | とくに製品として製造していない。焼却灰は産廃委託処理。 | ||
A | 製品貯留設備 | |||
(10)施設設置面積 | 40u |
(1)施設の稼動実績 | ||||
@実稼動燃焼処理量 | 171 | kg/時 | (水分85%) | |
A稼動時間 | 21 | 時間/日 | (処理能力は1日を通してほぼ一定) | |
B年間稼動日数 | 250 | 日/年 | ||
C燃焼温度 | 820 | ℃ | ||
D使用燃料 | A重油 | |||
E燃料使用量 | 173 | kL/年 | ||
(2)施設の運転にかかわる日常作業量 | ||||
@常勤者 延べ時間 | 延べ | 2.5 | 時間/週 | (1人×0.5時間/日×5日間) |
A非常勤者 延べ時間 | 延べ | 0 | 時間/週 | |
(3)残渣の発生量とその処理 | 14.7 | トン/年 | 産業廃棄物として引取り(20,000円/トン) | |
(4)排ガス対策等 | ||||
@排ガス量 | 1,021 | Nm3/時 | ||
Aばい煙対策 | 円心分離式サイクロン。 | |||
B塩化水素対策 | 炭酸カルシウムによる炉内中和(家畜ふんの場合は規制値を超えることはないと判断される) | |||
CNOx対策 | 燃焼温度の一定化によるNOx抑制 | |||
DSOx対策 | 炭酸カルシウムによる炉内脱硫(家畜ふんの場合は規制値を超えることはないと判断される) | |||
Eダイオキシン対策 | 燃焼管理(燃焼温度800℃×2秒以上で管理) |
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(1)処理施設の建設費 (土木建築、設備機器) |
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備考 | |
施設建設費 | 43,000 | 千円 | |
(2)年間処理経費 | |||
@施設の減価償却費 | 3,735 | 千円/年 | (土木建築20年、設備10年耐用) |
A維持管理費の合計 | 8,490 | 千円/年 | (電力,燃料,消耗品,薬剤,補修,分析費,他) |
B年償却費と維持管理費の合計 | 12,225 | 千円/年 | |
C製品販売収入 | 0 | 千円/年 | |
D年間処理経費合計 | 12,225 | 千円/年 | (年償却費+維持管理費-販売収入) |
(3)処理経費原単位等 | |||
@処理原料1トン当たり | 13,617 | 円/トン | (水分85%脱水汚泥) |
A飼養家畜頭羽数当たり | 円/頭・年 | ||
B発生残渣1トン当たり | 832 |
千円/トン |
(1) | 自己所有のほ場等がない場合、産業廃棄物処理費用を見込む必要がある。 |
(2) | 24時間の無人連続運転が行えるが、原則として日曜夜に一旦停止して月曜朝に炉内点検を行う必要がある。この場合の週間最大処理量は (24hr×7日/週−15時間)×0.171トン=26.1トン/週 |
(3) | 24時間連続運転を行う場合、異常発生時の対応策として焼却炉制御盤から出る信号を受けて、点検確認を行う警備保障会社との契約を考慮する必要がある。 |
(4) | 設備機器の償却期間を10年として算出したが、過去の実績より間欠運転で且つ屋外設置であっても10年程度の耐用年数が見込める。 |
畜種 | 飼養規模 | 施設所在地 | 設置年度 | 備考 | |
(1) | 乳製品工場 | 福岡県 | 備考 | ||
(2) | チーズ工場 | 神奈川県 | ※廃液や汚泥焼却を行っている施設 | ||
(3) | 珍味工場 | 北海道 | 養豚、養牛、養鶏場への実績無し | ||
(4) | と畜場 | 北海道 | (と畜場で汚泥、牛血液、し渣、腹ふん、 危険部位などでの実績5台) | ||
(5) | 缶詰工場 | 徳島県 | |||
(6) | と畜場 | 熊本県 |
(1)適用可能畜種 | 全畜種 | 採卵鶏、ブロイラー、牛、豚、すべての畜ふんを乾燥などの前処理なしで対応可能。(液状物でも可) |
(2)畜産以外の適用可能原材料等 | 脱水汚泥、可燃性廃棄物、牛乳などの廃棄乳製品、特定危険部位、牛や豚などの血液、各種食品残渣ほか(原材料の由来が不明なものは対象としない) |
@ | 家畜ふん尿を対象とした実績はないが、水分が85%の汚泥やと畜場での実績があり、燃焼装置として基本的な技術が完成されている。 |
A | 必要な排ガス対策は行われている。また流動床の予熱により、起動時の排煙対策も十分である。しかし、家畜ふん尿を対象とした実績がないので、ホッパー等の家畜ふん尿の投入設備関係の臭気対策が不明である。 |
B | 処理能力2トン/時までの設備を可能としているが、200kg/時以下の設備を得意としている。燃焼灰の処理については、産業廃棄物として排出することを前提にしている。 |
C | 処理能力200kg/時以下の装置ではコンパクトなレイアウトで実績があり、施工性はよい。一方、縦型の流動床炉とサイクロンの組み合わせではレイアウトに種々の制限があるので、レイアウトの大幅な変更は難しいと見られる。 |
D | 処理すべき畜産ふん尿の搬入と起動前の点検および起動操作を除けば、自動運転が行えるため操作性はよい。流動床燃焼であるため、時間単位での小刻みな起動と停止には向かないが、一日および数日を単位とした連続運転に適してしいる。 |
E | 装置の償却を、土木・建築20年、設備7年として、15.1千円/原料トンと見込んでいる。この内、燃料代が43%程度であるが、含水分の少ないふん尿であれば、この値は改善される。廃熱による燃焼用空気の予熱や廃熱の外部利用による、運転費用の軽減の可能性もある。 |
F | この施設は、家畜ふん尿を対象としたものではなく、汚泥等を処理対象としている施設である。しかし、当該技術は家畜ふんを対象としても成立する技術であり、他に鶏ふん焼却炉の納入実績があることから参考事例として評価書を掲載することとした。 |
評価年月日 |
![]() 処理施設全景 寒冷地のため屋内設置。 寒冷地以外では屋外可。 |
![]() 焼却炉と集じん機 左:焼却炉、右:集塵機、手前:流動ブロワ。 |
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![]() 周辺機器 コンプレッサーやブロワなど。 |
![]() 制御盤 起動ボタンで全自動運転。 焼却温度を自動管理。 |
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![]() バーナーと中和剤装置 着火バーナーと中和剤投入装置。 |
![]() 汚泥ホッパ 汚泥はポンプで圧送して焼却。 鶏糞などの低水分物はスクリューコンベヤで搬送して焼却。 |