汚水処理技術の事例紹介と評価
[スラリーばっ気処理]
1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)
企 業 名
緑産株式会社
処理方法
スラリーばっ気処理
適応畜種
牛舎汚水(牛ふん尿スラリー)
問い合わせ先・担当者
プロジェクト営業部 藤井満
〒229-1124 神奈川県相模原市田名3334番地
TEL:042-762-1021 FAX:042-762-1531
技術を参照できるURL:www.ryokusan.co.jp
お問い合わせ:sales@ryokusan.co.jp 、またはホームページからお問合せ下さい
処理施設の概略フロー

※ 1:諸々の条件により、一次貯留槽を設置しない場合もある。
※ 2:畜舎汚水性状によって、固液分離の必要性を個々に検討する。
※ 3:諸々の条件により、曝気調整槽と貯留槽を一槽とする場合がある。
※ 4:必要性に応じて脱臭層を設置する。
処理施設の概要
牛舎から排出したふん尿を液化し(固液分離、又は最低限の加水等)、間欠曝気方式による好気性発酵処理を行う。処理目標は、液肥利用を目的としたBOD
の一次反応終了期とし、薬品添加や高度処理は行わない。液肥の施用期に合わせた貯留槽の容積を持つ。
処理施設の特徴
- 液肥は「液状コンポスト」としての機能を有し、悪臭と液肥ショックが無い。
- 装置は、高濃度スラリー対応カッティング機構付の特殊曝気ポンプと消泡機からなり、タイマーにより自動運転する。
- 排出汚水濃度や諸々の条件により、固液分離機方式か、希釈方式等を選択可能。
- 凝集剤は使用しない。未分解の繊維質は細断されスラリー状でほ場に施用され、土壌微生物の栄養源となることで、土づくり効果が高い。
- 発酵菌等の添加は基本的に不要。スラリーを好気的状態に保つことで好気性菌を増殖させ、有機質の分解を行う処理である。
- 家畜ふん尿を有機資源として利用し、良質な液肥生産による資源リサイクルで、経営の安定持続が可能。
- 固液分離機方式をとることで、堆肥化との併用が可能。
- 小〜大規模まで適応できる。
処理施設の実施状況
- 畜 種
- :牛舎汚水(牛ふん尿スラリー)
- 飼育規模
- :経産牛 150 頭(フリーストール牛舎、計画時)
- ふん尿排出
- :ローダー
排出汚水量・汚濁負荷量
- 1. 排出汚水量
- :11.4t/日
- 2. 家畜1頭1日当たりの汚水量
- :76 s/頭・日
- 3. 排出汚水濃度
- :TS10 〜 12%(水分率90 〜 88%)(原水推定値)
処理施設の設定方法
- 1. 分離機の種類:
- ローラープレス式
- 2. 凝集剤使用の有無:
- 無し
- 3. 分離性能:
- 分離比率(重量比) 液70:固30(推定値)
分離液濃度:TS 7 〜 8%(推定値)
分離固形物水分率:75 〜 80%(推定値)
高度処理方法
無し
水質処理性能
“液状コンポスト”として利用可能なBOD の一次反応終了を処理目標とする。
ふん尿中の易分解性有機物の分解終了の無機化による“化学肥料の代替機能”と、中・難分解性有機物の残留による“土づくり機能”をあわせ持ち、悪臭除去と液肥ショックの無いレベルとする。
注)処理レベルは、処理費用との相関をなすため、周辺環境や要求度合いを考慮し調整が可能。
処理経費
処理施設全体の処理経費
- 処理施設の建築費:建設費合計(3,300 万円)、年償却費(198 万円)
- 維持管理費:維持管理費の合計(電力料+修繕費= 162.6 万円/年)
- 年間処理経費:搾乳牛1頭当たり2.4 万円
導入に当たっての留意点
- 畜舎形態とふん尿汚水の性状を考慮。
- 固液分離の要否を多方面から検討。
- 曝気槽の容量(処理期間)、及び貯留槽の構成の検討。
- 処理スラリー量・成分量と還元可能農地等の収容力(N.K 等について)の検討。
- 堆肥化との連携の検討。
2.評価結果(評価委員会による評価結果)
総合評価評
- 施設の建設費は、他の処理方法と比べるともう少し低減したい。維持管理費は他の処理方法に比べて経済的であり、全処理方法の中でも安い。
- ばっ気槽と貯留槽が一体のシステムも可能で、その場合は処理効率は落ちるがシンプルである。しかし当然ながら建設費は高くなる。
- 納入実績が多く、技術の蓄積が期待できる。
- スラリー処理の基本型と言えるが、臭気問題が発生する可能性は少ないが、圃場還元に必要な条件がそろっている経営において採用可能である。
評価チャート

 水中撹拌機(スラリー撹拌)
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 水中ばっ気ポンプ |
 固液分離機(ローラープレス)
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 スラリーばっ気状況 |
 地上型スラリーサイロ |
 セミクローズド・スラリーサイロ |