汚水処理技術の事例紹介と評価

[簡易ばっ気処理]

1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企 業 名

松下ナベック株式会社

処理方法

接触酸化法

適応畜種

豚舎汚水

問い合わせ先・担当者

技術製造部開発グループ 則武圭輔
TEL:0568-81-1162 FAX:0568-84-5577
技術を参照できるURL:http://www.navec.co.jp/
お問い合わせ:ホームページから

処理施設の概略フロー

処理施設の概要

 ふん尿分離の豚舎汚水を傾斜スクリーンで固液分離し、セラミック担体接触酸化方式による活性汚泥処理を行う処理システムである。

処理施設の特徴

  1. 接触酸化方式の生物膜により標準活性汚泥法式に比べて流入変動に強い。
  2. 初沈槽を2槽にすることで曝気槽流入負荷を平均化し生物処理を安定化させている。
  3. セラミック製の接触材は交換無しで半永久的に使用可能。
  4. 流入原水がBOD10,000mg/L程度までならば希釈水無しで処理ができる。
  5. 生物膜の自己消化作用により標準活性汚泥法式に比べて汚泥発生量が少ない。
  6. 中〜小規模向け処理施設として管理しやすく適応し易い。
  7. 水源の乏しい条件でも適する。

処理施設の実施状況

1. 畜種、飼養規模 
:豚舎汚水、母豚100 頭一貫経営規模
2. ふん尿の排出方法 
:ふん尿分離方式(ボロ出し率約70%以下)
3. 希釈倍率 
:希釈なし
4. 処理水の処置 
:畑地還元(液肥として利用)

排出汚水量・BOD 量

1. 排出汚水量 
:4 m3/日(5L/頭・日)
2. 排出汚水BOD 量 
:40kg /日(50g /頭・日)
3. 排出汚水BOD 濃度 
:10,000mg/L

固液分離の方法

1. 固液分離機の機種 
:豚舎汚水の固液分離機(ウエッジワイヤー式傾斜スクリーン)
:余剰汚泥の固液分離機(ベルトプレス)
2. 凝集剤の使用 
:余剰汚泥の分離に高分子凝集剤(添加量0.80%/ SSkg)
3. SS 除去率 
:振動篩(30%)、ベルトプレス(98.5%)
4. 分離固形物水分 
:傾斜スクリーンし渣(80%)、脱水ケーキ(70%)

高度処理方法

無し

水質処理性能

曝気槽BOD 容積負荷量:0.17kg /m3・日

曝気槽投入汚水 曝気槽処理水 高度処理水 除去率
SS mg/ L 3,768 25 99.3
COD mg/ L 910 368 60.0
BOD mg/ L 4,285 66 98.5
T-N mg/ L 2,111 401 81.0
T-P mg/ L 71 17 76.0

処理経費

1. 処理施設の建設費 
:建設費の合計(2,300 万円)、年償却費(138 万円)
2. 維持管理費 
:維持管理費の合計(電力費+薬品費= 72.6 万円/年)
3. 処理経費の合計 
:母豚1頭当たり(2.1 万円)、出荷豚1頭当たり1,053 円

導入に当たっての留意点

  1. ボロ出し率、原水滞留状況によって適切な前処理が必要。
  2. 固液分離固形物は堆肥化処理を行う。
  3. 放流の場合は間欠曝気など運転条件変更による窒素低減が必要

2.評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 本処理システムは圃場還元を目的としているので、処理水量に合った農地面積が必要である。処理経費は液肥利用であるため全処理方法の中で普通のコストである。
  2. 散気装置の清掃、ブロワーのオーバーホール、ベルトブレス脱水機のメンテナンスや運転管理などの保守管理が必要である。
  3. 接触ばっ気槽投入汚水が高濃度なため接触ばっ気槽の泡立ち、BOD、SS 除去率の低下が心配される。
  4. 脱水汚泥が低水分に設定されているが、実際には高水分脱水汚泥として排出する事が予想されるので堆肥化処理には注意が必要である。

評価チャート

評価年月日

施設全景

接触ばっ気槽

最初沈殿地

余剰汚泥脱水機