汚水処理技術の事例紹介と評価
[浄化処理(ふん尿分離)]
1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)
企 業 名
新興商事株式会社
処理方法
活性汚泥変法( 二段ばっ気法+リン除去法)
適応畜種
豚舎汚水
問い合わせ先・担当者
営業 堀田敦史・船井聡彦・森 武夫
TEL:0532-61-8413 FAX:0532-61-8412
お問い合わせ:shinko@.tees.ne.jp
処理施設の概略フロー

処理施設の概要
処理施設はふん尿分離豚舎、ふん尿混合豚舎より排出される汚水に対応した処理施設で、ふん尿混合の高濃度汚水にも対応できる二段曝気法により処理を行う。
処理施設の特徴
- 前処理は固液分離機と急速沈殿装置の組合わせによりBOD、SS の除去をする。
- SK 前処理装置を使用して汚水の物性を安定させて浄化処理する。
- 曝気槽の容積負荷量を低く設計している。
- 余剰汚泥の発生量が比較的少ない。
- 脱窒・脱リン除去装置などの組合せができる。
- 母豚1000 頭一貫経営のふん尿混合汚水浄化槽の設置実績がある。
処理施設の実施状況
- 1. 畜種・飼養規模
- :養豚排水・母豚80 頭規模
- 2. ふん尿の排出方法
- :ふん尿分離方式(ボロ出し率約30%以下)
- 3. 希釈倍率
- :豚舎汚水に対して2 倍希釈
- 4. 処理水の処置
- :河川放流
排出汚水量・BOD 量
- 1. 排出汚水量
- :15 m3/日(18.75L/頭・日)
- 2. 排出汚水BOD 濃度
- :2,667mg/L
- 3. 排出汚水B O D 量
- :40kg /日(50g /頭・日)
固液分離の方法
- 1. 固液分離機の種類
- :豚舎排水の固液分離(ウルトラTN スクリーン)
:余剰汚泥の固液分離(SK スクリーンスキーマー脱水機)
- 2. 凝集剤の使用
- :余剰汚泥の分離に高分子凝集剤(添加量1%/ SSkg)
- 3. S S 除去率
- :ウルトラTN スクリーン(30%)SK スクリーンスキーマー(98%)
- 4. 分離固形分水分
- :ウルトラTN(75%) SK スクリーンスキーマー(85%)
高度処理方法
- 間欠ばく気運転による脱窒。
- 特殊凝集剤による脱リン。
水質処理性能
曝気槽BOD 容積負荷量:0.3kg /m3・日
区 分 |
曝気槽投入汚水 |
曝気槽処理水 |
高度処理水 |
除去率 |
SS mg/ L |
1,000 |
16 |
9.5 |
99.1 |
COD mg/ L |
2,700 |
73 |
61 |
97.7 |
BOD mg/ L |
3,000 |
34 |
18 |
99.4 |
T-N mg/ L |
12,000 |
210 |
120 |
99.0 |
T-P mg/ L |
300 |
39 |
29 |
90.3 |
処理経費
- 1. 処理施設の建設費
- :建設費の合計(24,000,000 円)、年償却費(1,440,000 円)
- 2. 維持管理費
- :維持管理費の合計(電力費+薬品費= 247,000 円)
- 3. 処理経費の合計
- :母豚1 頭当り(21,000 円)、出荷豚1 頭当り(1,054 円)
導入に当たっての留意点
- 汚水濃度のバラツキに対して安定した処理能力を持っているが、処理水に多少の着色があるので、多少の希釈水の使用が必要である。
- 施設の効率的な運用を行うため除ふん等の管理が必要である。
2.評価結果(評価委員会による評価結果)
総合評価
- BOD、SS の除去効果は高いが、高度処理を実施しているものの、放流先の規制によっては窒素、リンの除去が不十分であることから、オプションの付加が必要となる。
- 処理水の色度も放流先規制によっては対応の必要がある。
- 排出汚濁物質量が過小に設定されているので実際の施設計画時には十分な注意が必要。
- 処理コストは全処理方法をとおして普通である。
評価チャート

 施設全景
|
 ばっ気槽(1) |
 ばっ気槽(2)消泡スプレー |