汚水処理技術の事例紹介と評価
[浄化処理(ふん尿分離)]
1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)
企 業 名
株式会社 バイオテクノ環境
処理方法
回分式活性汚泥法(酸化溝法)
適応畜種
豚舎汚水
問い合わせ先・担当者
技術1 課・伊藤京二
TEL:045-477-4444 FAX:045-477-4446
お問い合わせ:bio-env@giga.ocn.ne.jp
処理施設の概略フロー

処理施設の概要
ふん尿分離の豚舎・牛舎汚水を振動篩で固液分離し、オキシデーションデッチ処理施設を全自動回分運転する活性汚泥処理システムである。
処理施設の特徴
- 曝気槽投入汚水のBOD 濃度が 1,200mg/L以下であれば安定した処理性能が得られ、処理水の色度は低い。
- 凝集剤を使わないため、分離汚泥、余剰汚泥の堆肥化に支障をきたさない。
- シンプルな構造であるため、故障箇所が少ない。
- 曝気槽の構造にオキシデーションデッチ型を採用しているため、電力ロスが少ない。
- 施設全体の機械類が少ないく、しかも、機械類は故障の少ないものを選定している。
- スクリュー型曝気装置を採用しているため、目詰まり等運転上のトラブルが少ない。
- 全自動運転のため、機械類の異常が発生しない限り、日常の管理は簡素化できる。
- 小〜中規模向け処理施設として適応し易い。
処理施設の実施状況
- 1. 畜種、飼養規模
- :豚舎汚水、母豚110 頭規模
- 2. ふん尿の排出方法
- :ふん尿分離方式(ボロ出し率約70%)
- 3. 希釈倍率
- :豚舎汚水量に対して約2.5 倍の希釈
- 4. 処理水の処置
- :流域水路に放流
排出汚水量・BOD 量
- 1. 排出汚水量
- :16.5 m3/日(15 L/頭・日)
- 2. 排出汚水B O D 量
- :55kg /日(50g /頭・日)
- 3. 排出汚水BOD 濃度
- :3,334mg/ L
固液分離の方法
- 1. 固液分離機の機種
- :豚舎汚水の固液分離機(振動篩)
:余剰汚泥の固液分離機(余剰微生物乾燥床)
- 2. 凝集剤の使用
- :無し
- 3. S S 除去率
- :振動篩(40%)
- 4. 分離固形物水分
- :振動篩し渣(80%)、乾燥汚泥(50%)
高度処理方法
なし
水質処理性能
曝気槽BOD 容積負荷量:0.3kg /m3・日
|
曝気槽投入汚水 |
曝気槽処理水 |
高度処理水 |
除去率 |
SS mg/L |
1,406 |
7.3 |
− |
98.2 |
COD mg/L |
− |
28.2 |
− |
− |
BOD mg/L |
1,200 |
21.1 |
− |
99.5 |
T-N mg/L |
− |
43.1 |
− |
− |
T-P mg/L |
− |
18.3 |
− |
− |
処理経費
- 1. 処理施設の建設費
- :建設費の合計(2,237 万円)、年償却費(134 万円)
- 2. 維持管理費
- :維持管理費の合計(電力費+薬品費= 54 万円/年)
- 3. 処理経費の合計
- :母豚1 頭当たり(1.7 万円)、出荷豚1 頭当たり855 円
導入に当たっての留意点
- 希釈水が不足すると、処理水の着色度が高くなるので、安定的な希釈水の確保が必要である。
2.評価結果(評価委員会による評価結果)
総合評価
- 機械類が少なくシンプルなシステムで、故障やメンテナンスが少ない機器類を使用しており、余剰汚泥の脱水機がないこともあり、処理経費は全処理方法の中でも安い。
- 活性汚泥微生物に無理をさせない運転条件( ばっ気槽投入汚水濃度やBOD 容積負荷量)を採用しているため高い浄化機能が安定的に得られ、徴生物の管理も容易である。
- 希釈水利用が条件となっており、安定した処理水を得るためには希釈水による濃度調整が不可欠である。
評価チャート
