汚水処理技術の事例紹介と評価

[浄化処理(ふん尿分離)]

1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企 業 名

共和化工株式会社

処理方法

活性汚泥変法(間欠ばっ気法、膜分離+リン除去法)

適応畜種

豚舎汚水

問い合わせ先・担当者

リサイクル事業本部 畠中豊
〒141-8519 東京都品川区西五反田7-25-19
TEL:03-3494-1327 FAX:03-3494-1375
技術を参照できるURL:http://www.kyowa-kako.co.jp
お問い合わせ:ホームページから

処理施設の概略フロー

処理施設の概要

 ふん尿分離の豚舎汚水を振動篩で固液分離し、間欠曝気方式による活性汚泥処理を行う。浄化処理水の高度処理は膜分離とリン除去を行って放流する処理システムである。

処理施設の特徴

  1. 間欠曝気方式の活性汚泥法により、BOD の他窒素の除去も行う。
  2. 曝気槽の散気装置は、メンブレンタイプで目詰まりしにくく、酸素の溶解効率が高い。曝気槽のDO 制御によりブロワーの電力消費を低減している。
  3. 2 槽切り替えによる間欠曝気方式を採用しており、ブロワーの能力が半減できるので設備費の低減ができる。
  4. 特殊吸着材を用いたリン除去装置を採用しており、汚泥の発生が少なくなく、リン除去ができる。除去されたリンはリン酸塩として回収できる。
  5. 中〜大規模向け処理施設として適応し易い。
  6. 水質規制の厳しい条件に適する。

処理施設の実施状況

1. 畜種、飼養規模 
:豚舎汚水、母豚80 頭規模
2. ふん尿の排出方法 
:ふん尿分離方式(ボロ出し率約30%以下)
3. 希釈倍率 
:希釈なし
4. 処理水の処置 
:河川放流

排出汚水量・BOD 量

1. 排出汚水量 
:20 m3/日(25L/頭・日)
2. 排出汚水BOD 濃度 
:110kg /日(138g /頭・日)
3. 排出汚水B O D 量 
:5,500mg/L

固液分離の方法

1. 固液分離機の機種 
:豚舎汚水の固液分離機(振動篩)
:余剰汚泥の固液分離機(スクリュープレス)
2. 凝集剤の使用 
:余剰汚泥の分離に高分子凝集剤(添加量1.7%/ SSkg)
3.  S S 除去率 
:振動篩(30%)、最初沈澱槽(40%)、スクリュープレス(98.5%)
4. 分離固形物水分 
:振動篩し渣(80%)、脱水ケーキ(75%)

高度処理方法

  1. 浸漬型機能膜による吸引ろ過
  2. 特殊吸着材を用いたリン除去

水質処理性能

曝気槽BOD 容積負荷量:0.5kg /m3・日

曝気槽投入汚水 曝気槽処理水 高度処理水 除去率
SS mg/ L 4,960 1.0 99.9
COD mg/ L 2,150 22 99.0
BOD mg/ L 3,230 2.0 99.9
T-N mg/ L 567 7.0 98.7
T-P mg/ L 126 20 1.3 99.0

処理経費

1. 処理施設の建設費 
:建設費の合計(4,000 万円)、年償却費(240 万円)
2. 維持管理費 
:維持管理費の合計(電力費+薬品費= 250.5 万円/年)
3. 高度処理経費 
:建設費1,200 万円(年償却費72 万円)、維持管理費(23.2 万円)
4. 処理経費の合計 
:母豚1 頭当たり(7.32 万円)、出荷豚1 頭当たり(3,661 円)

導入に当たっての留意点

  1. ボロ出し率の低下によっては分離効果の高い前処理が必要。分離固形物は堆肥化処理を行う。
  2. ボロ出し率を高めることにより処理経費の低減が可能(ボロ出し率60%に高めると処理頭数200 頭増、出荷豚1 頭当たりの処理経費は2,602 円になる)。

2.評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 膜分離方式で間欠ばっ気法を採用した独自のシステムであり、高度処理が行われており処理性能も高い。
  2. 間欠ばっ気法によって窒素とリンの除去率が高い。
  3. リン除去に、再生可能な吸着剤を使用した独自のリン・リサイクルシステムであり、同時に脱色ができる。
  4. 実施事例がふん尿混合で、やや小規模なこともあるが、処理経費は全処理方法の中でもかなり高い。

評価チャート

評価年月日

施設全景

リン吸着塔

膜浸漬槽

活性汚泥処理水と高度処理水