汚水処理技術の事例紹介と評価

[浄化処理(ふん尿分離)]

1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企 業 名

ヨシモトポール株式会社

処理方法

活性汚泥変法(間欠ばっ気法+膜分離法)

適応畜種

豚舎汚水

問い合わせ先・担当者

畜産環境事業部 篠宮邦彦
TEL:03-3214-1553 FAX:03-3212-1751
技術を参照できるURL:http://www.ypole.co.jp
お問い合わせ:ホームページから

処理施設の概略フロー

処理施設の概要

 ふん尿分離の豚舎汚水を傾斜型スクリーンで固液分離し、連続又は間欠曝気により活性汚泥処理を行う。処理水は、曝気槽に浸漬した中空糸膜により吸引ろ過し、活性汚泥と分離する。

処理施設の特徴

  1. DO 値管理により、連続又は間欠曝気方式の活性汚泥法により、BOD の他窒素の除去も期待できる。
  2. 曝気槽の散気管はOHR 式エアレーターで目詰まりが無いため間欠運転にも問題なく長寿命(メーカー資料15 年)、大口径でブロアーに対する抵抗少なく省エネ設計。
  3. 中空糸膜分離方式のため汚泥濃度を従来法の2 倍で管理することにより曝気槽容積を1/2 に出来、設備費の低減ができる
  4. 工場生産の円筒縦型FRP 槽により、省スペースで小規模向け処理施設として適応し易い。
  5. 沈殿槽が無く、膜分離のため、「汚泥沈降不良トラブル」が無い。

処理施設の実施状況

1. 畜種、飼養規模 
:豚舎汚水、母豚135 頭一貫規模(肥育はオガコ踏み込み式豚舎)
2. ふん尿の排出方法 
:ふん尿分離方式(処理対象飼養頭数:600 頭)
3. 希釈倍率 
:希釈なし
4. 処理水の処置 
:河川放流

排出汚水量・BOD 量

1. 排出汚水量 
:5 m3/日(8L/頭・日)
2. 排出汚水BOD 濃度 
:30kg /日(50g /頭・日)
3. 排出汚水B O D 量 
:6,000mg/L

固液分離の方法

1. 固液分離機の機種 
:豚舎汚水の固液分離機(傾斜型スクリーン)
:余剰汚泥の固液分離機(スクリュープレス)
2. 凝集剤の使用 
:余剰汚泥の分離に高分子凝集剤(添加量2% /SSkg)
3. S S 除去率 
:傾斜型スクリーン(30%)、スクリュープレス(95%)
4. 分離固形物水分 
:傾斜型スクリーンし渣(80%)、脱水ケーキ(80%)

高度処理方法

  1. 浸漬型機能膜による吸引ろ過

水質処理性能

曝気槽BOD 容積負荷量:0.8kg /m3・日(実測値)

曝気槽投入汚水 曝気槽処理水 高度処理水 除去率
SS mg/ L 670 1 (1) 99.9
COD mg/ L 1,500 130 (130) 91.3
BOD mg/ L 4,300 6 (6) 99.9
T-N mg/ L 1,600 130 (130) 91.9
T-P mg/ L 64 30 (30) 53.1

処理経費

1. 処理施設の建設費 
:建設費の合計(2,600 万円)、年償却費(292.5 万円)
2. 維持管理費 
:維持管理費の合計(電力費+薬品費= 69.2 万円/年)
3. 高度処理経費 
:建設費350 万円(年償却費70 万円)、維持管理費(12 万円)
4. 処理経費の合計 
:母豚1 頭当たり19,300 円、出荷豚1 頭当たり963 円

導入に当たっての留意点

  1. 膜分離のため処理水量が増えないように、原水導入経路に雨水等の流入が無い様にすること。
  2. 寒冷地は、寒冷地仕様(断熱材サンドイッチ構造の槽)とする。

2.評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. ふん尿分離型の畜舎汚水を対象とした簡易で希釈水を用いないタイプの処理システムとして評価できるが、窒素およびリンの規制がある地域ではばっ気槽の間欠運転あるいは高度処理設備の付設が必要である。
  2. 膜浸漬型活性汚泥法を採用していることから、固形物濃度や有害微生物の流出が防止できる。
  3. 良好な処理性能を維持するためには活性汚泥の管理はもちろんのこと、浸漬膜の定期的なメンテナンスが必要である。
  4. 比較的小規模で、膜分離、高度処理を行っている割には、処理経費が全処理方式の中でも安い。

評価チャート

評価年月日

施設外観(設置例)

膜浸漬槽

ステージ上部

ばっ気槽内部

ステージ上プラットホーム

膜分離槽・膜ユニット設置状況