汚水処理技術の事例紹介と評価

[メタン発酵処理(液肥利用)]

1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企 業 名

株式会社 グリーンプラン

処理方法

メタン発酵処理

適応畜種

牛ふん尿

問い合わせ先・担当者

天野 徹、尾崎 主磨
〒003-0027 北海道札幌市白石区本通18 丁目北3-66
TEL:011-865-7221 FAX:011-865-3325
お問い合わせ:eco@greenplan.co.jp

処理施設の概略フロー

処理施設の概要

  1. 本プラントでは、原料が含水率90%以上でポンプ移送可能な場合、そのまま嫌気性処理を行うことが出来る。原料槽では、必要に応じて水分調整を行う。
  2. 発酵槽は断熱施工がされており、寒冷地(冬期平均温度− 15℃)においても安定した発酵が可能となっている。
  3. 密閉の発酵槽での嫌気性発酵によりアンモニア蒸散が無く臭いが軽減する。また、大気への汚染物質の放散を防止する。
  4. 発酵温度は中温発酵法(38℃)であり、アンモニアによる発酵阻害等が無く畜産農家においても安定した運転が可能。
  5. 発生した消化ガスは、周辺のエネルギー利用状況に応じて、電気・熱の供給が可能となる。
  6. 中〜大規模向け処理施設として適応し易い。

処理施設の実施状況(別海町サイロ改造プラント実績)

1. 畜種、飼養規模 
:乳牛ふん尿、成牛換算170 頭規模 フリーストールにおいて飼養。
2. ふん尿の収集方法 
:スクレーパー等で、埋設コンクリート槽に投入。
3. 糞尿含水率 
:原料槽への収集後の糞尿は、含水率90%程度となっている。
4. 消化液の処置 
:農場所有のほ場への撒布。
5. 滞 留 日 数 
:25 日滞留。
6. メタン発酵法 
:38℃中温発酵法、縦型発酵槽、機械攪拌。
7. 発酵槽加温 
:発電機・ボイラーから発生する熱を回収し、温水として発酵槽内に設置している温水配管を通して加温する。また、余剰熱はパーラー・搾乳機器の洗浄水の温水熱源として利用。
8. 原料および消化液の性状 

投入原料 消化液
pH 7.06 ± 0.13 6.35 ± 1.45
固形分濃度(%) 11.82 ± 0.22 6.53 ± 1.45
有機物濃度(%) 9.27 ± 0.56 5.46 ± 0.55
総窒素量(mg/ L) 5,177 ± 203 3,396 ± 165
アンモニア態窒素(mg/ L) 2,270 ± 224 1,956 ± 99
総リン酸量(mg/ L) 1,384 ± 114 812 ± 43
総カリウム量(mg/ L) 3,759 ± 858 3,191 ± 286
9. ガス発生量 
原料有機物量 13.0 t/ 日× 9.27% ≒ 1.21 t/ 日
消化液有機物量 13.0 t/ 日× 5.46% ≒ 0.71t/ 日
有機物消化量 1.21 t/ 日− 0.71t/ 日= 0.50t/ 日
メタン発生量 323.3L(CH4)/kg(VS)×500kg/日(消化量)≒162m3
バイオガス発生量 162 m3÷ 55%(メタン濃度)≒ 295 m3

処理経費


処理量13 t / 日
建築費 53,000,000
年償却費 −@ 3,180,000 円/ 年
維持管理費−A 461,000 円/ 年
年間処理経費(@+A) 3,641,000 円/ 年
乳牛1 頭当り(万円) 21,400

※建築費の、メタン発酵槽はサイロの改造費として計上。

導入に当たっての留意点

  1. 発生した消化液を撒布できるほ場または撒布可能な農地の確保が必要。
  2. ふん尿の含水率が著しく低下した場合、パーラー等からの排水を利用し希釈を行う。
  3. 牛舎内で使われている敷料(稲わら、おが屑等)及び飼料残渣中の粗飼料(乾草等)が大量の混入した場合、付帯機器類(ポンプ、攪拌機等)の運転に影響を及ぼす。よってプラント計画時には、ふん尿以外に含まれる原料成分について調査・検討する必要がある。
  4. 夏期間の余剰熱利用方法の検討する。

2.評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. メタン発酵消化液を農地還元するための圃場面積が必要である。
  2. 寒冷地に対応可能な個別農場規模のバイオガスプラントであり,電気と熱を利用できる。
  3. タワーサイロを発酵槽とガスホルダーに利用するユニークな設計である。処理コストも全処理方式の中でも安い。
  4. 酪農経営において電気、熱の通年利用についての検討を必要とする。

評価チャート

評価年月日

施設改造事例(1)北海道

ガスボイラー

設置事例(2)北海道・都市近郊

液肥散布

ガス発電機