汚水処理技術の事例紹介と評価
[浄化処理(パーラー排水)]
1.処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)
企 業 名
群立機器株式会社
処理方法
活性汚泥変法(膜分離法)
適応畜種
パーラー排水
問い合わせ先・担当者
篠ア秀明
TEL:027-266-5911 FAX:027-266-0772
処理施設の概略フロー

処理施設の概要
搾乳場より排出する、器具洗浄水、牛乳成分、ふん尿等を固液分離機により前処理し曝気槽で、汚濁物質を酸化分解した後、0.4um の中空糸膜により活性汚泥と処理水とに分離する。余剰汚泥は濃縮し、堆肥化処理施設に移送する。
処理施設の特徴
- 従来の活性汚泥法での沈殿分離から、膜により分離する事により汚泥の流出がなくなり処理水が安定する。
- 0.4um の中空糸膜を使用しているので大腸菌等が流出しない。
- 膜分離なので活性汚泥濃度を従来法の2 倍程度まで上げられる。
それにより曝気槽の容積を小さく出来る。
- 活性汚泥の沈降性の確認が不要となり汚泥管理が簡単
- 水質規制が厳しく高度処理が必要な条件に適する。
- 安定した水質が得られる。
処理施設の実施状況
- 1. 畜種、飼養規模
- :パーラー汚水、乳牛500 頭規模。
- 2. ふん尿の排出方法
- :器具洗浄水、廃乳、搾乳中ふん尿少量自然流下。
- 3. 希釈倍率
- :希釈なし。
- 4. 処理水の処置
- :河川放流。
排出汚水量・BOD 量
- 1. 排出汚水量
- :10 m3/日(20L/頭・日)
- 2. 排出汚水BOD 濃度
- :40kg /日
- 3. 排出汚水B O D 量
- :4,000mg/L
固液分離の方法
- 1. 固液分離機の機種
- :パーラー汚水の固液分離機(スクリーン)
- 2. S S 除去率
- :スクリーン(30%)、
- 3. 分離固形物水分
- :スクリーンし渣(80%)
高度処理方法
- 浸漬型機能膜による吸引ろ過
水質処理性能
曝気槽BOD 容積負荷量:0.5kg /m3・日
|
曝気槽投入汚水 |
曝気槽処理水 |
高度処理水 |
除去率 |
SS mg/L |
3,800 |
6.0 |
− |
99.9 |
COD mg/L |
2,700 |
22 |
− |
− |
BOD mg/L |
3,600 |
1.0 |
− |
99.9 |
T-N mg/L |
450 |
80 |
− |
82.0 |
T-P mg/L |
120 |
32 |
− |
− |
処理経費
- 1. 処理施設の建設費
- :建設費の合計(2、450 万円)、年償却費(147 万円)
- 2. 維持管理費
- :維持管理費の合計(電力費+薬品費= 42 万円/年)
- 3. 高度処理経費
- :建設費(年償却費に含む)、維持管理費(50 万円)
- 4. 処理経費の合計
- :乳牛1 頭当たり(0.5 万円)
導入に当たっての留意点
- 処理水量を正確に把握する。特に雨水の混入に注意が必要。
- 膜を詰まらせるゴミ、繊維物が槽内に入らないようスクリーン等での前処理が重要となる。
2.評価結果(評価委員会による評価結果)
総合評価
- パーラー排水を膜分離活性汚泥法で処理する施設であり、処理水のSS、BOD、大腸菌数をきわめて小さくすることが可能な高度処理システムである。
- 中空糸膜の状態が処理性能を決定づけるため、活性汚泥の性能維持と適切な膜の管理が必要である。
- パーラー排水のみの処理であることから処理経費は安いが、全体のふん尿処理経費とは別にかかる費用であることを認識する必要がある。
- 処理コストは、全処理方式の中でも安い。
- パーラー排水は、病気治療に使われる抗生物質や消毒剤などが汚水中に多量に混入すると活性汚泥の機能障害が生じるので注意が必要。
評価チャート

 膜浸漬槽 |
 吸引ポンプ |
 処理水の性状(原汚水、処理水) |