堆肥化技術の事例紹介と評価

[開放型攪拌方式]

1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

ヤンマーグリーンシステム株式会社

堆肥化処理方式の区分

直線型・ロータリー式+堆積方式

問い合わせ先・担当者

環境施設部 池田喜雄
大阪市北区茶屋町1−32
TEL:06−6376−6332 FAX:06−6371−8431
技術を参照できるURL:http://www.yanmar.co.jp/
お問い合わせ:yoshio_ikeda@yanmar.co.jp

基本設計数値等

1. 施設の概要: 
牛ふんをロータリー式発酵槽で堆肥化処理する施設
2. 処理方式: 
ロータリー式発酵槽
3. 適用畜種: 
肉牛(300頭)
4. 原料処理量: 
6.0トン/ 日(2,190トン/ 年、敷料を含む)
5. 副資材: 
おが屑
6. 調整水分(投入水分): 
68%
7. 全発酵期間: 
30日
8. 設置場所: 
長野県

処理施設の概略フロー

施設の特徴

  1. 原料の搬入、堆肥の排出以外はロータリーの自動移送が出来るので省力化が図れる。
  2. 独自の微量通気方式を採用する事により、高温での発酵を維持できるため、高品質の堆肥が得られる。

施設の稼働状況(実施例)

1. 畜  種: 
肉牛
2. 飼養規模: 
肥育牛300頭
3. 畜舎構造: 
フリーストール牛舎
4. 設置年月日: 
平成14年8月
5. システム構成: 
フローシートで示すとおり、原料混合槽, ロータリー式発酵槽, 製品貯留兼乾燥槽で構成されている。
6. 堆肥生産量: 
肉牛ふんの堆肥1,460トン/ 年
7. 管理者数: 
常勤者1人
8. 畜ふんの搬送: 
バケットローダーによる搬送
9. ふん尿の分離: 
特に無し
10. 脱臭装置の有無: 
無し

原料の前処理

@搾汁処理の有無: 
無し
A異物の分別対策: 
肉眼により手作業で分別
B原料の破砕: 
無し

堆肥原料と投入量・生産量

1. 施設能力: 
1,460トン/ 年
2. 家畜ふん原料: 
肉用牛ふん6トン/ 日
3. 水分調整材料: 
おが屑1.8トン/ 日
4. 混合ふんの重量および水分: 
7.8トン/ 日、水分68.1%、容積重約0.8トン/m3
5. 処理日数: 
30日
6. 堆肥化原料の混合および投入作業: 
バケットローダーにより投入、機械攪拌
7. 1次処理および2次処理の運転方法: 
1次処理:ロータリー式発酵槽、攪拌1回/ 日(全自動自走式)
8. 堆肥の貯留と製品化設備: 
製品貯留槽兼熟成槽で貯留、袋詰め設備は無し
9. 堆肥の年平均生産量: 
1,460トン/ 年(全量バラ)
10. 製品堆肥の販売単価: 
1,900円/m3
11. 堆肥成分分析例 
(単位:水分は湿物値、他は乾物値)
水分% 灰分% pH EC mS/cm 全炭素% 全窒素% C/N 比 リン酸% カリ% 発芽指数

処理経費

1. 施設建設費: 
14,999.25千円、減価償却費(施設20年、機械7年耐用):1,359.4千円/ 年
2. 維持管理費(電力費・副資材費・修繕費の合計): 
1,380千円/ 年
3. 処理経費の合計(年償却費+維持管理費): 
2,739.4千円/ 年
4. 原料1トン当たりの処理経費: 
1,251円/ トン

導入に当たっての留意点

  1. 投入水分の調整が重要である。
  2. 通気量の調整が重要である。

本方式の適用可能な畜種

肥育牛、乳牛、豚、採卵鶏、ブロイラー

他畜種への主な納入実績例

1. 沖 縄: 
乳牛600頭(2001)
2. 北海道: 
乳牛ふん尿20トン(生ゴミ、排水処理余剰汚泥5トンの併用処理)(2002)
3. 長 野: 
豚ふん16トン(2002)
4. 岐 阜: 
乳牛、肉牛、鶏ふん混合ふん6トン(生ゴミ0.5トンの併用処理)(2002)
5. 群 馬: 
乳牛19トン(生ゴミ2トンの併用処理)(2003)

2. 評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 主原料は肉牛ふんとおが屑の混合材料7.8トン/ 日の中規模の堆肥化施設である。
  2. 処理方式の特徴は、1次処理は直線型ロータリー式攪拌機で堆肥材料を1日1回攪拌し、床面から強制通気を行って発酵促進を図っている。1次処理期間は30日であり、1次処理後は既存の製品貯蔵兼熟成槽で貯蔵する。
  3. 処理対象が肉牛ふんであり、強制通気を行う1次処理期間が30日あるので1次処理の発酵品質に問題はない。なお、発酵品質を向上させるには2次処理期間を60日以上確保し、切り返しを行いながら熟成させる必要がある。
  4. 肉牛肥育では水分調製はあまり問題にならないが、乳牛ふんなどで水分調製に失敗すると発酵槽底部の通気床を閉塞させる場合があるので適正水分に調製することが最も重要である。
  5. 通気量は堆肥原料容積当たり50L/m3・分以上を確保する必要がある。
  6. 1次処理が機械攪拌のため省力化が図られている。
  7. 当該施設は設置実績も多く、建設費、維持管理費も比較的低廉なことから、畜産経営に寄与できると期待される。

評価チャート

評価年月日

3. 施設説明写真


発酵槽全景

ロータリー式攪拌機

吸気用ブロアー