堆肥化技術の事例紹介と評価

[開放型攪拌方式]

1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

日環エンジニアリング株式会社

堆肥化処理方式の区分

直線型・ロータリー式+堆積方式

問い合わせ先・担当者

埼玉 埼玉県桶川市西2丁目8番6号  技術課宛にて
TEL:048-773-4485 FAX:048-773-4429
技術を参照できるURL:http://www.nikkan-ks.com
お問い合わせ:saitama@nikkan-ks.com

東北 宮城県大崎市古川桜ノ目字新沢目134  生産技術部 生産管理課 佐々木 栄樹
TEL:0229-28-2334 FAX:0229-28-2335
お問い合わせ:tohoku@nikkan-ks.com

基本設計数値等

1. 施設の概要: 
牛ふんをオープン式ロータリー攪拌発酵槽、堆積式発酵槽で堆肥化する施設
2. 処理方式: 
オープン式ロータリー攪拌発酵槽+堆積式発酵槽
3. 適用畜種: 
搾乳牛・育成牛(搾乳牛換算約200頭)
4. 原料処理量: 
約22トン/ 日(ふん尿投入量ベースで12トン/ 日)、(7,848トン/ 年、敷料を含む)
5. 副資材: 
麦稈(牛舎敷料分)、戻し堆肥(牛舎敷料分)
6. 調整水分(投入水分): 
68%
7. 全発酵期間: 
60日
8. 施設所在地: 
北海道

処理施設の概略フロー

施設の特徴

  1. オープン式発酵施設は、長手方向奧側に1列の立壁があり、片側手前には立壁が無く前面開放になっている発酵槽である。投入・取出しは前面開放部より随意に作業でき、不定量、不規則な管理も可能である。また、攪拌は3〜4日に1回発酵温度が上昇した時点で攪拌する。
  2. エアー送風の目詰まりは、堆肥を取出した場所をその都度掃除できるので送風管理が容易である。
  3. 水分調整の不具合で発酵しない場合でも、発酵槽の何処からでも副資材の投入が可能であるため、発酵を容易に行うことができる。
  4. 毎日攪拌しないので、電気料が安価となり、機械の消耗も少ない。また、自動運転により確認程度の見回りで済む。

施設の稼働状況(実施例)

1. 畜  種: 
搾乳牛・育成牛
2. 飼養規模: 
搾乳牛換算200頭
3. 畜舎構造: 
フリーストール牛舎・育成舎(ふん尿混合)
4. 設置年月日: 
平成14年2月
5. システム構成: 
本施設は既存堆肥舎と、オープン式ロータリー攪拌発酵施設を中心として、1か月毎のオールインオールアウト方式にて発酵処理している。
6. 堆肥生産量: 
乳牛ふんの堆肥約6,000トン/ 年(戻し堆肥を除き3,102トン/ 年)
7. 管理者数: 
常勤者1人、非常勤者2人
8. 畜ふんの搬送: 
バケットローダーにより搬送
9. ふん尿の分離: 
混合一括処理
10. 脱臭装置の有無: 
無し

原料の前処理

1. 搾汁処理の有無: 
無し
2. 異物の分別対策: 
無し
3. 原料の破砕: 
無し

堆肥原料と投入量・生産量

1. 施設能力(投入原料ベース): 
21.5トン/ 日(7,847トン/ 年)
2. 家畜ふん原料: 
主原料乳牛ふん12トン/ 日(4,380トン/ 年)
3. 水分調整材料: 
戻し堆肥(牛舎敷料分)6.5トン/ 日、麦稈(牛舎敷料分)3トン/ 日
4. 混合ふんの重量および水分: 
21.5トン/ 日、水分約68%、容積重約0.83トン/m3
5. 処理日数: 
1次処理槽(オープン式発酵槽)30日、2次処理槽(堆積型発酵槽)30日
6. 堆肥化原料の混合および投入作業: 
バケットローダーにより投入、機械攪拌
7. 1次処理および2次処理の運転方法: 
1次処理:オープン式発酵槽は発酵温度が65℃ 以上に上昇したら1往復攪拌する。
 冬季平均3〜4日に1回の運転となる(全自動自走式)
2次処理:堆積型発酵槽、バケットローラーによる攪拌1回/ 週
8. 堆肥の貯留と製品化設備: 
既存堆肥舎、袋詰めなし
9. 堆肥の年平均生産量: 
3,102トン/ 年(バラ)
10. 製品堆肥の販売単価: 
0円/ トン
11. 堆肥成分分析例(一次処理後の分析値) 
(水分以外は乾物値)
水分% 灰分% pH EC mS/cm 全炭素% 全窒素% C/N 比 リン酸% カリ% 発芽指数
67.6 8.16 7.78 4.60 24.91 1.30 19.6

処理経費

1. 施設建設費: 
96,000千円、減価償却費(施設20年、機械7年耐用):6,660千円/ 年
2. 維持管理費(電力費・副資材費・修繕費の合計): 
5,237千円/ 年(副資材購入費含む)
3. 処理経費の合計(年償却費+維持管理費): 
11,897千円/ 年
4. 原料1トン当たりの処理経費: 
2,716円/ トン

導入に当たっての留意点

  1. 投入水分は65〜70%に調整すること。通気用送風装置を設置する。
  2. 堆肥舎は水蒸気の抜けやすい構造にする。

本方式の適用可能な畜種

乳牛、肉牛、豚、採卵鶏、ブロイラーほか

他畜種への主な納入実績例

1. 北海道: 
肉牛(2003)
2. 東 北: 
牛、豚、鶏混合(2004)
3. 関 東: 
豚(2003)
4. 九 州: 
鶏(2003)、ブロイラー(2001)

2. 評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 乳牛ふん尿混合排せつ物を麦稈で水分調節し、深型ロータリー式の開放直線型片側オープン式の発酵施設(処理日数30日)と堆積型発酵舎(処理日数30日)で処理している。
  2. 製品堆肥は牛舎敷料として活用している。
  3. ロータリー撹拌装置の深さは1.5m、1.8m、2 m の3タイプから選べるが、実稼働システムは1.8m(有効深1.7m)を採用している。
  4. 深型のロータリー型発酵槽のため、施設面積は少なくて済むが、乾草など長物が含まれると機械に負荷が掛かるので注意が必要である。
  5. ロータリーは左右どちらにも撹拌しながら移送ができ、発酵槽の側壁がないことから、実稼働システムではオールイン・オールアウトでの堆肥化処理を可能としている。しかし、生ふんの貯留は周囲の環境悪化を招くおそれがあるので、連続運転が好ましい。
  6. 3〜4日に1回の撹拌としているため、完熟に達しない可能性がある。連続運転が好ましい。
  7. 戻し堆肥を牛舎敷き料に活用する場合、十分に発酵し、水分が低下したものを使うことが重要なので、おが屑等による水分調節を適切に行うとともに、冬季に用いる戻し堆肥の貯留施設が別途必要となる。
  8. 機械償却がやや高価であるが、運転コストはやや安価(麦稈を除く)である。

評価チャート

評価年月日

3. 施設説明写真


攪拌前の堆肥
(表面が凍結している)

投入3日後(攪拌中)
(凍結した牛ふんが外に飛び出している)

投入10日後
(発酵温度65℃ 以上)

攪拌機
(オープン式攪拌機)