堆肥化技術の事例紹介と評価

[開放型攪拌方式]

1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

豊栄物産株式会社

堆肥化処理方式の区分

堆積方式+直線型・ロータリー式

問い合わせ先・担当者

営業課 中下久雄
〒890-0064 鹿児島市鴨池新町15
TEL:099-253-3178 FAX:099-256-3319
技術を参照できるURL:http://hoeibussan.com
お問い合わせ:hoei@po3.synapse.ne.jp

基本設計数値等

1. 施設の概要: 
肉用牛・豚・ブロイラー混合ふんを、堆積式発酵槽+ロータリー式発酵槽で堆肥化処理する施設
2. 処理方式: 
堆積式発酵槽+ロータリー式発酵槽
3. 適用畜種: 
肉用牛・豚・ブロイラー
4. 原料処理量: 
6トン/ 日(2,200トン/ 年、敷料を含む)
5. 副資材: 
おが屑
6. 調整水分(投入水分): 
65%
7. 全発酵期間: 
50日
8. 施設所在地: 
鹿児島県

処理施設の概略フロー

施設の特徴

  1. ロータリー式発酵槽で攪拌移動させるために高品質の堆肥が得られ、電力費等ランニングコストも安価である。
  2. 高温での発酵が可能なため、安全な堆肥が得られ臭気の発生量も少ない。
  3. シンプルな施設のため、故障が少なくオペレーターが使い易い。
  4. 様々な種類の有機性廃棄物の処理が可能である。

施設の稼働状況(実施例)

1. 畜  種: 
肉用牛・豚・ブロイラー
2. 飼養規模: 
堆肥センターのため受入量として、約6トン/ 日
3. 畜舎構造: 
各農家による
4. 設置年月日: 
1997年4月
5. システム構成: 
本施設は、フローチャートに示したように、ロータリー式発酵槽を中心に、堆積式発酵槽・原料貯槽・製品貯槽、袋詰め設備等で構成される。
6. 堆肥生産量: 
混合ふんの堆肥800トン/ 年
7. 管理者数: 
常勤者1人、非常勤者1人
8. 畜ふんの搬送: 
バケットローダーにより搬送
9. ふん尿の分離: 
無し
10. 脱臭装置の有無: 
無し

原料の前処理

1. 搾汁処理の有無: 
無し
2. 異物の分別対策: 
肉眼により手作業で分別と篩機による分別
3. 原料の破砕: 
無し

堆肥原料と投入量・生産量

1. 施設能力(投入原料ベース): 
2,200トン/ 年
2. 家畜ふん原料: 
主原料肉用牛ふん6トン/ 日
3. 水分調整材料: 
おが屑0.5トン/ 日
4. 混合ふんの重量および水分: 
重量6.5トン/ 日、水分65%、容積重約0.7トン/m3
5. 処理日数: 
1次処理(堆積式攪拌槽)25日、2次処理(ロータリー式発酵槽)25日
6. 堆肥化原料の混合および投入作業: 
バケットローダーにより投入、機械攪拌
7. 1次処理および2次処理の運転方法: 
1次処理:堆積型発酵槽、バケットローダー攪拌・1回/15日
2次処理:ロータリー式発酵槽、攪拌1回/ 日(全自動自走式)
8. 堆肥の貯留と製品化設備: 
堆肥貯留槽、袋詰め機
9. 堆肥の年平均生産量: 
800トン/ 年(バラ100トン/ 年、15kg 袋詰め46,000袋)
10. 製品堆肥の販売単価: 
バラ5,000円/m3、袋詰め300円/ 袋
11. 堆肥成分分析例 
(単位:水分は湿物値、他は乾物値)
水分
灰分
pH EC mS/cm 全炭素
全窒素
C/N
リン酸
カリ
発芽
指数
窒素
石灰
苦土
mg/kg
ナトリウム
mg/kg
34.3 9.1 24.9 2.25 13.8 3.75 2.22 1.8 576 729 2.15

処理経費

1. 施設建設費: 
50,000千円、減価償却費(施設20年、機械7年耐用):4,800千円/ 年
2. 維持管理費(電力費・修繕費の合計): 
1,500千円/ 年
3. 処理経費の合計(年償却費+維持管理費): 
6,300千円/ 年
4. 原料1トン当たりの処理経費: 
2,864円/ トン

導入に当たっての留意点

  1. 投入水分の調整が重要である。
  2. 水分低下が著しい場合には、尿汚水を散布できる設備を設ける。

本方式の適用可能な畜種

肉用牛、乳用牛、豚、採卵鶏、ブロイラーほか

他畜種への主な納入実績例

1. 宮 崎: 
豚ふん8トン/ 日(2001)
2. 鹿児島: 
肉用牛・ブロイラー10トン/ 日(2001)
3. 沖 縄: 
乳用牛30トン/ 日(2002)(2004)
4. 長 崎: 
肉用牛15トン/ 日(2002)
5. 大 分: 
肉用牛2トン/ 日(2002)
6. 宮 崎:
肉用牛20トン/ 日(2003)
7. 宮 崎: 
乳用牛4トン/ 日(2003)
8. 沖 縄: 
乳用牛30トン/ 日(2003)
9. 鹿児島: 
ブロイラー8トン/ 日(2003)
11. 鹿児島: 
ブロイラー5トン/ 日(2004)
12. 宮 崎: 
乳用牛・豚・ブロイラー30トン/ 日(2004)
13. 大 分: 
乳用牛・豚9トン/ 日(2004)
14. 熊 本: 
採卵鶏4トン/ 日(2004)
15. 熊 本: 
乳用牛6トン/ 日(2004)
16. 大 分: 
乳用牛8トン/ 日(2005)
17. 宮 崎: 
肉用牛4トン/ 日(2005)
18. 大 分: 
乳用牛7トン/ 日(2005)

2. 評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 肉用(肥育)牛ふん、豚ふん、ブロイラーふんを集め、堆積型発酵舎(処理日数25日)と深型ロータリー式の開放直線型発酵施設(25日)を組み合わせたシステムで処理している。
  2. ロータリー式撹拌装置の深さは1 m、1.2m、1.5m の3タイプから選べるが、実稼働システムは1 m(有効深0.9m)を採用している。
  3. 肥育牛ふんが主原料であるため原料水分がやや低いが、通気性の改善に用いるおが屑がやや少ない。導入に当たっては、畜産環境アドバイザー等専門家と相談することが望ましい。
  4. 本事例では製品堆肥の水分が低いので支障はないが、投入時の水分が高いと製品水分も高くなるので、投入時の水分調整に注意が必要である。
  5. ロータリー式攪拌機に散水システムを有しており、過乾燥時には加水調節が可能である。
  6. 施設費、運転コストは中程度である。他の堆肥生産に係る費用も含まれるため管理者数が多くなっている。

評価チャート

評価年月日

3. 施設説明写真


全景

原料貯槽(混合兼用)

堆積式1次処理槽

ロータリー式2次処理槽

堆肥貯留槽

袋詰め製品