堆肥化技術の事例紹介と評価

[開放型攪拌方式]

1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

アイケイ商事株式会社

堆肥化処理方式の区分

円形型・ロータリー式

問い合わせ先・担当者

建設部 営業課宛て
千葉県香取郡小見川町虫幡942番地
TEL:0478−82−7121 FAX:0478−82−7122
技術を参照できるURL:http://www.iksyoji.co.jp

基本設計数値等

1. 施設の概要: 
豚ふんをロータリー式円形型撹拌発酵槽で堆肥化処理する施設
2. 処理方式: 
ロータリー式円形型撹拌発酵槽(ファームクリーンエンドレス)+堆積式発酵槽
3. 適用畜種: 
肥育豚(2,200頭)
4. 原料処理量: 
5.0トン/ 日(900トン/ 年、敷料を含む)
5. 副資材: 
おが屑・モミガラ等
6. 調整水分(投入水分): 
60〜65%
7. 全発酵期間: 
60日〜90日
8. 設置場所: 
千葉県

処理施設の概略フロー

施設の特徴

  1. 弊社のロータリー式発酵機械はコンピュータ制御により過負荷がかかるとロータリーを必要なだけ上昇させ、過負荷が無くなると下降するので従来の掘り起こし作業が全く必要ない。
  2. 1.5m の深型発酵槽タイプなので、発酵熱が冷めにくくなり発酵を促進させる。
  3. 16パターンの運転が可能である。
  4. 生ふんと戻し堆肥のみの処理の場合においては、粒(ペレット)状の仕上がりになる。
  5. 24時間タイマーが付いているので、全自動撹拌運転が出来、切り返し作業にかけていた時間と労力を他の作業にまわす事が出来る。
  6. ロータリー式なので、スクープ式に比べるとランニングコストが安い。
  7. ロータリーのツメ(刃)が市販の農耕用なので、低価格で買い求める事が出来、尚且つ自分でも簡単に交換が出来る。
  8. 槽の巾が、4 m、6 m、8 m、9 m、10m、12m と敷地に合わせて設置可能、また円形型も有り現場のニーズに合わせて設置可能である。

施設の稼動状況(実施例)

1. 畜  種: 
肥育豚
2. 飼養規模: 
肥育豚2,200頭
3. 畜舎構造: 
ふん尿混合
4. 設置年月日: 
2003年1月
5. システム構成: 
本施設は、ロータリー式円形型発酵槽、堆肥舎を中心に副資材(おが屑)貯留、戻し堆肥貯留槽、堆肥貯留槽で構成されている。
6. 堆肥生産量: 
豚ふんの堆肥:900トン/ 年
7. 管理者数: 
常勤者1人、非常勤者1人
8. 畜ふん搬送: 
バッケットローダーにより搬送
9. ふん尿の分離: 
無し
10. 脱臭装置の有無: 
無し

原料の前処理

1. 搾汁処理の有無: 
無し
2. 異物の分別対策: 
振動篩機にて分別
3. 原料の分別: 
無し

堆肥原料と投入量・生産量

1. 施設能力: 
900トン/ 年
2. 家畜ふん原料: 
主原料肥育豚ふん5トン/ 日(900トン/ 年)
3. 水分調整材料: 
おが屑1トン/ 日
4. 混合ふんの重量および水分: 
重量6トン/ 日、水分65%、容積重約0.8トン/m3
5. 処理日数: 
1次処理(ロータリー式円形型発酵槽)30日、2次処理(堆肥舎)60日
6. 堆肥原料の混合および投入作業: 
バケットローダーにより投入、機械撹拌
7. 1次処理および2次処理の運転方法: 
1次処理:ロータリー式円形型発酵槽、撹拌1回/ 日(全自動自走式)
2次処理:堆肥舎、バケットローダー撹拌1回/ 週
8. 堆肥の貯留と製品化設備: 
堆肥舎に貯留、出荷は2トンダンプ車によりばら売りのみ
9. 堆肥の年平均生産量: 
900トン/ 年(バラ)
10. 製品堆肥の販売単価: 
1,500円/ トン(ばら売りのみ)
11. 堆肥成分分析例 
(単位:水分は湿物値、他は乾物値)
水分% 灰分% pH EC mS/cm 全炭素% 全窒素% C/N 比 リン酸% カリ% 発芽指数 石灰% 苦土%
33.00 2.9 2.10 11.00 5.21 0.95 4.57 1.39

処理経費

1. 施設建設費: 
29,500千円、減価償却費(施設20年、機械7年耐用):2,790千円/ 年
2. 維持管理費(電力費・副資材費・修繕費の合計): 
1,570千円/ 年
3. 処理経費の合計(年償却費+維持管理費): 
4,360千円/ 年
4. 原料1トン当たりの処理経費: 
2,389円/ トン

導入に当っての留意点

  1. 投入水分の調整が重要である。

本方式の適用可能な畜種

乳牛、肉用牛、豚、採卵鶏ほか

他畜種への主な納入実績例

1. 千葉: 
採卵鶏10万羽(2003)
2. 茨城: 
乳牛150頭(2003)
3. 栃木: 
豚700頭一貫経営(2004)
4. 茨城: 
肥育豚2,500頭(2004)
5. 栃木: 
肉用牛2,000頭(2005)

2. 評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 主原料は豚ふん4.6トン/ 日の堆肥化施設である。
  2. 処理方法の特徴として、おが屑を副資材として、市販の農耕用ロータリー刃を用いた円形ロータリー式攪拌槽で堆肥化するエンドレスタイプの堆肥化施設である。1次処理の発酵槽は堆積高1.5m とロータリー式としては深型である。
  3. 処理方法は、攪拌機による1次処理と堆積発酵法の2次処理の組合せにより90日間の発酵を行う。
  4. 施設自体の技術的完成度は比較的高いものと考えられる。
  5. 設計計算に適正を欠く部分があるが、堆肥舎の規模に余裕があり完熟堆肥の生産が期待できる。
  6. 構造は簡易であり、設置面積も直線型に比べて小さい。
  7. 建屋は簡易な構造であり、維持管理費も安い。

評価チャート

評価年月日

3. 施設説明写真


円形型撹拌発酵施設
(発酵施設間口長さ共に20m、省スペース設置型)

円形型撹拌発酵機
(ファームクリーンエンドレス)
(槽幅半径8 m、槽高1.5m の深型発酵槽)

堆肥舎
(写真左手前より副資材貯留槽、混合槽、2次処理、製品貯留槽)