堆肥化技術の事例紹介と評価
[密閉型攪拌方式]
1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)
企業名
中部エコテック株式会社
堆肥化処理方式の区分
密閉縦型攪拌方式+堆積方式
問い合わせ先・担当者
東日本事業部長 川崎浩二
〒331-0811 埼玉県さいたま市北区吉野町2丁目231-6
TEL:048-651-9981 FAX:048-651-9982
技術を参照できるURL:http://www.chueco.co.jp/
お問い合わせ:お問い合わせはホームページから
基本設計数値等
- 1. 施設の概要:
- 乳牛ふんを密閉式縦型発酵処理施設にて堆肥化処理する施設
- 2. 処理方式:
- 縦型密閉式発酵機:16日間
堆積型発酵槽(バケットローダー攪拌1回/ 通気有/ 週):80日間
- 3. 適用畜種:
- 乳牛(50頭〜300頭)
- 4. 原料処理量:
- 4トン/ 日(1,300トン/ 年、敷料を含む)
- 5. 副資材:
- 廃白土 乳牛ふん尿(水分89%)に対して10〜13%添加
- 6. 調整水分(投入水分):
- 89%
- 7. 全発酵期間:
- 96日
- 8. 施設所在地:
- 新潟県
処理施設の概略フロー

施設の特徴
- 施設に要する必要面積が少ない。
- 脱臭対策が容易にできる。
- 寒冷地においても年間を通じ、能力低下がなく使用できる。
- 多頭化経営では副資材の確保、労働力の確保が難しく、労賃コストが高い日本においては、通常の処理方法では多量の副資材と労働力を必要とする。弊社処理方法はトータルコストにおいて安価に処理できる。
- 副資材を使用しないため、経営外に出荷する堆肥量を減量化できる。
- 既設堆肥舎の戻し堆肥製造用乾燥舎が不要となる。
施設の稼働状況( 実施例)
- 1. 畜 種:
- 搾乳牛
- 2. 飼養規模:
- 90頭
- 3. 畜舎構造:
- つなぎ牛舎
- 4. 設置年月日:
- 2004年4月
- 5. システム構成:
- 本施設は、フローシートに示したように、密閉式縦型発酵処理施設を中心に生ふん置場、既設堆肥舎、堆肥貯留槽、袋詰め設備、脱臭設備等で構成される。
- 6. 堆肥生産量:
- 既設堆肥量480トン/ 年(水分55%)
密閉式縦型発酵処理施設:380トン/ 年(水分40%)
- 7. 管理者数:
- 常勤者0.3人
- 8. 畜ふんの搬送:
- バケットローダーより搬送
- 9. ふん尿の分離:
- 無し
- 10. 脱臭装置:
- 木くず脱臭装置処理風量、18m3/ 分
原料の前処理
- 1. 搾汁処理の有無:
- 無し
- 2. 異物の分別対策:
- 肉眼により手作業で分別
- 3. 原料の破砕:
- 無し
堆肥原料と投入量・生産量
- 1. 施設能力:
- 2. 家畜ふん原料:
- 1,300トン/ 年(水分89%)
- 3. 水分調整材料:
- 廃白土465kg/ 日
- 4. 混合ふんの重量および水分:
- 4トン/ 日、水分80%、容積重900kg/m3
- 5. 処理日数:
- 1次処理16日間、2次処理80日間
- 6. 堆肥化原料の混合および投入作業法:
- バケットローダーにより投入機械攪拌
- 7. 1次処理および2次処理の運転方法:
- 1次処理:縦型密閉式発酵機16日間
2次処理:堆積型発酵槽(バケットローダー攪拌1回/ 通気有/ 週)80日間
(戻し堆肥は密閉縦型の出来上がり堆肥を使用)
- 8. 堆肥の貯留と製品化設備:
- 乾燥無、ペレット化無、バラ出荷、袋詰め出荷
- 9. 堆肥の年平均生産量:
- 7,300トン/ 年(バラ7,000トン/ 年、15kg 袋詰め300トン/ 年)
- 10. 製品堆肥の販売単価:
- +1,221円/ トン 555円/m3 18.3円/ 袋(15kg)(0〜7年目)
−2,328円/ トン −1,058円/m3 −34.9円/ 袋(15kg)(8年目以降) 減価償却終了後
- 11. 堆肥成分分析例
-
(単位:水分は湿物値、他は乾物値)
水分% |
灰分% |
pH |
EC mS/cm |
全炭素% |
全窒素% |
C/N 比 |
リン酸% |
カリ% |
発芽指数 |
38 |
− |
− |
− |
23.4 |
1.3 |
18 |
1.78 |
1.61 |
− |
処理経費
- 1. 施設建設費:
- 27,600千円、減価償却費(施設20年、機械7年耐用):3,549千円/ 年
- 2. 維持管理費(電力費・副資材費・修繕費の合計):
- 2,730千円/ 年
- 3. 処理経費の合計(年償却費+維持管理費):
- 6,279千円/ 年
- 4. 原料1トン当たりの処理経費:
- 4,830円/ トン(原料水分89%)
(発酵処理、堆肥出荷の人件費は加算せず)
導入に当たっての留意点
- 飼育規模50頭以上、堆肥が自家飼料畑等の自家消費出来ない農家に適したプラントである。
- 労働力、水分調整用副資材が不足している農家に適したプラントである。
本方式の適用可能な畜種
搾乳牛、鶏、豚(豚, 鶏には多数実績あり)
他畜種への主な納入実績例
- 1. 栃木:
- 豚800頭一貫経営(2004)
- 2. 福島:
- 豚250頭一貫経営(2004)
- 3. 千葉:
- 採卵鶏25万羽(2004)
- 4. 福井:
- 搾乳牛100頭(2004)
- 5. 岩手:
- 肥育牛1,200頭(2004)
2. 評価結果(評価委員会による評価結果)
総合評価
- 主原料は乳牛ふん尿3.6トン/ 日の堆肥化施設である。
- 処理方法の特徴として、高水分の乳牛ふん尿に熱源としての廃白土を添加し、密閉縦型発酵機で堆肥化する。
- 処理方法は、密閉縦型発酵機による1次処理と堆積発酵法の2次処理の組合せにより96日間の発酵を行う。
- 装置自体の技術的完成度は高い。
- 施設の維持管理は容易である。
- 処理性能については妥当であるが、設計計算どおりの廃白土添加が必須である。
- 装置はコンパクトで脱臭対策も行いやすく、また設置面積が小さくてすむことから、特に面積の確保が難しい場合に有利である。
- ランニングコストが高いことから、土地を含めた資本利子等を考慮したトータルコストで評価する必要がある。
- 立地により廃白土が入手できない場合があるので、事前の調査が必要である。
評価チャート

3. 施設説明写真
 農場前景 |
|
 牛舎内部 |
 生牛ふん |

密閉式縦型発酵処理施設 |
 出来上がり堆肥 |
|
 袋詰め機および袋詰め堆肥 |