堆肥化技術の事例紹介と評価

[参考事例(牛ふん+生ごみの町営施設)]

1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

株式会社 岡田製作所

堆肥化処理方式の区分

密閉円形型・スクリュー式+直線型・スクリュー式

問い合わせ先・担当者

営業部長 鈴木郁男
〒374-0042 群馬県館林市近藤町318-2
TEL:0276-74-3838 FAX:0276-74-5818
技術を参照できるURL:http://www.okadass.com
お問い合わせ:eigyou@okadass.com

基本設計数値等

1. 施設の概要: 
牛ふん+生ごみをスクリュー式円形発酵槽にて1次処理したものをスクリュー式直線発酵槽にて2次処理する施設
2. 処理方式: 
円形スクリュー式発酵槽+直線スクリュー式発酵槽
3. 適用畜種: 
乳牛(260頭)
4. 原料処理量: 
15トン/ 日(5,475トン/ 年、敷料を含む)
5. 副資材: 
枯葉、間伐材(おが屑製造)、モミガラ
6. 調整水分(投入水分): 
65%
7. 全発酵期間: 
90日 天日乾燥15日
8. 施設所在地: 
栃木県

処理施設の概略フロー


(図示したすべてが処理経費欄の施設建設費に含む施設)

施設の特徴

  1. 臭いの出る1次処理期間を密閉した円形発酵装置により効率よく発酵および脱臭を行い、2次処理をスクリュー式直線発酵機によりゆっくり攪拌搬送しながら全自動にて常に発酵条件のいい状態にて堆肥化するシステムである。
  2. 原料と副資材を別々のホッパーで投入することにより、混合機により均一に混ぜ常に安定した発酵状態を保つことが可能である。
  3. スクリュー攪拌方式のため、メンテナンスが少なく、耐用年数が長い。
  4. 乳牛ふんはなかなか乾燥しないため、天日乾燥機にて常に安定した堆肥を供給可能にしている。

施設の稼働状況( 実施例)

1. 畜  種: 
乳牛
2. 飼養規模: 
茂木町の酪農家13軒(約260頭分)
3. 畜舎構造: 
つなぎ牛舎
4. 設置年月日: 
2003年3月
5. システム構成: 
本施設は、フローチャートに示したように、スクリュー式円形発酵槽、スクリュー式直線発酵槽を中心に、原料投入棟、副資材保管庫、製品庫、天日乾燥棟、袋詰め設備、脱臭設備、液肥設備、おが屑製造機等にて構成されます。
6. 堆肥生産量: 
乳牛堆肥:1,117トン/ 年
7. 管理者数: 
常勤者3人(事務所内)、非常勤者3人
8. 畜ふんの搬送: 
各酪農家にコンテナを置き、アームロール車にて運搬
9. ふん尿の分離: 
スラリーのみベルトプレスにて分離
10. 脱臭装置の有無: 
バーク+堆肥による吸着および生物脱臭

原料の前処理

1. 搾汁処理の有無: 
液肥化処理
2. 異物の分別対策: 
堆肥化および天日乾燥後に篩にて分別
3. 原料の破砕: 
混合機にて粗破砕。間伐材はおが屑製造機にておが屑にする。

堆肥原料と投入量・生産量

1. 施設能力: 
1,117トン/ 年
2. 家畜ふん原料: 
乳牛15トン/ 日、生ごみ1.6トン/ 日
3. 水分調整材料: 
モミガラ0.79トン/ 日、枯葉0.79トン/ 日、間伐材おが屑0.63トン/ 日
4. 混合ふんの重量および水分: 
18.8トン/ 日、水分65%
5. 処理日数: 
1次処理25日、2次処理65日
6. 堆肥化原料の混合および投入作業: 
アームロール車によりホッパーにダンプアップ
7. 1次処理および2次処理の運転方法: 
1次処理:スクリュー式円形発酵により攪拌1回/ 日、全自動
2次処理:スクリュー式直線発酵により攪拌1回/ 日、全自動
8. 堆肥の貯留と製品化設備: 
天日乾燥機により、乾燥させ、篩後小袋およびフレコンバックに袋詰め
9. 堆肥の年平均生産量: 
1,117トン/ 年
10. 製品堆肥の販売単価: 
4,000円/ トン、400円/10kg 袋
11. 堆肥成分分析例 
(単位:水分は湿物値、他は乾物値)
水分
灰分
pH EC
mS/cm
全炭素
全窒素
C/N
リン酸
カリ
発芽
指数
石灰
mg/kg
苦土
mg/kg
亜鉛
ppm

ppm
40 8.6 1.4 26 1.4 1.8 16,000 5,300 94 16

処理経費

1. 施設建設費: 
480,000千円、減価償却費(施設20年、機械7年耐用):45,000千円/ 年
2. 維持管理費(電力費・副資材費・修繕費の合計): 
10,500千円/ 年
3. 処理経費の合計(年償却費+維持管理費): 
55,000千円
4. 原料1トン当たりの処理経費: 
9,077円/ トン

導入に当たっての留意点

  1. 水分調整を自動で行うが季節変動があるため、調整材は十分用意する。
  2. 枯葉は比重がかるく、量の割りに重量がないので、十分考慮する。

本方式の適用可能な畜種

乳牛、鶏

他畜種への主な納入実績例

1. 岩手: 
搾乳牛+生ごみ(PFI 事業)(2001)
2. 宮城: 
採卵鶏20万羽(2001)

2. 評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 原料は乳牛ふん尿15トン/ 日で、副資材として枯葉、間伐材から製造したおが屑、モミガラを混合して処理する堆肥化施設である。
  2. 処理方式は円形スクリュー式発酵槽による25日間の1次処理と、それに引き続く直線スクリュー式発酵槽を用いた65日間の2次処理の組み合わせである。
  3. 発酵期間が十分にとられていること、天日乾燥施設を付帯していること、必要に応じて副資材の量を調整することなど水分調整対策は十分であるが、採用に当たっては副資材の種類、量、入手経路についてあらかじめ十分に検討しておく必要がある。
  4. 本施設は落ち葉を副資材とする点で特異であり、一般には入手しやすい代替品を考えておく必要がある。
  5. 密閉式装置のため臭気を捕集することが容易で、臭気対策も講じやすいという利点があるが、コスト高につながり、農家に設置する場合は参考になりにくい。
  6. 脱臭施設はバークと堆肥を組み合わせた生物脱臭法を用いているが、メンテナンスの方法が示されておら
  7. ず、長期にわたる安定的な運転が可能か検証できなかった。

評価チャート

評価年月日

3. 施設説明写真


原料投入装置
(手前 副資材ホッパー、奥 原料ホッパー)

1次処理棟
円形スクリュー式発酵槽
密閉構造にて効率よく臭いを捕集する

2次処理槽(直線スクリュー式発酵槽)
堆積高さ2 m にて効率よく発酵させる

天日乾燥機
乳牛ふんは乾燥しずらいため、天日にて乾燥させる

脱臭棟
バーク+堆肥により吸着および生物脱臭を行う

液肥棟
スラリーを、固分と液分に分け、液分を液肥にする