堆肥化技術の事例紹介と評価

[開放型攪拌方式]

1. 処理施設の概要(企業からの情報に基づき作成したものである)

企業名

株式会社天神製作所

堆肥化処理方式の区分

開放型攪拌方式

問い合わせ先・担当者

営業課 天神 隆
〒885-0004  宮崎県都城市都北町7210-2
TEL:0986-47-1825  FAX:0986-47-1826
技術を参照できるURL:http://www.tenjin-tm.co.jp/
お問い合わせe-mail:info@tenjin-tm.co.jp

技術の概要

1. 技術の名称(製品名、型式の区分)
スクリュー式攪拌槽への堆肥投入・取り出しをどこからでも出来るようにした堆肥化処理技術(TML型地走式発酵攪拌機)
2. 従来機種の型式・名称・更新の要否(従来機種の改善・改良・仕様変更等の場合)
@ 従来機種の型式・名称:TM垂直発酵攪拌機
A 従来機種の改良点:従来の型式TM垂直発酵攪拌機では、両サイドコンクリートの発酵槽の上に設備し発酵・攪拌をしていた。
今回、機械の片側をタイヤ走行式にすることで、コンクリート発酵槽の壁が片側しかいらず、もう片方の槽の壁がなくなることで、横側からどこでも糞尿を投入・取出しが可能になった。大規模な畜産施設では発酵槽を長くすることで1台の機械で多量の糞尿を発酵堆肥化することが可能になった。
B 新技術への更新の要否:今後、新技術は現技術と併用して展開するため、従来機種データはそのままでお願い致します。
3. 技術のシステム構成
スクリュー式攪拌・発酵槽、製品庫で構成される。
4. 主機となる設備(システムの場合)
TMスクリュー式攪拌機
5. 技術を説明する基本的原理等
敷き床を含め糞が一度に、多量発生するオガコ豚舎や牛舎の場合、両側槽壁のある移動式の攪拌機では一度に全部の畜糞を投入できず、1時ストック場所を必要としていた。
片側の壁をなくしタイヤ走行式にすることで1時ストック場所の削減や無駄に機械を稼働し畜糞投入スペースを確保する必要がないため電気代コストの削減が図れる。
6. 処理技術の概略フロー

7. 技術の新規性と特徴
@ 新規性
発酵槽の壁が片側しかない為、畜糞をどこからでも投入・取出しが可能になっている。
オガコ畜舎の出荷に伴う多量の敷き量混じりの畜糞を、 そのまま発酵槽に投入可能となっている。
A 特徴
発酵槽を長く作り1台で多量の畜糞の発酵・堆肥化が可能になる。
畜糞投入のために無理に機械を稼働させ、攪拌移動させる必要がなくなり、電気代コストを抑えることが出来る。
2軸によるスクリューで畜糞の固まり等を破砕し、粒の細かい堆肥化を図ることが出来る。
8.技術の適用範囲
各畜種の家畜糞の堆肥化装置として適用できる。その他 、生ごみ、汚泥等の堆肥化施設への適用も可能である。

畜産経営の概要

1. 飼養畜種・飼養規模
肥育豚 6800頭  離乳舎豚  2800頭
2. 畜舎構造・畜舎面積
ドームハウス 1棟あたり12.2m巾×45.7m長さ  400頭
3. 畜舎内ふん尿分離の方法(ふん尿分離またはふん尿混合方式)
オガコ敷床
4. 施設所在地
北海道

技術の設計概要
 設計諸元と施設概要

1. 設計諸元と設計概要
@ 主原料の構成と性状
主原料:オガコ豚舎 肥育豚糞26.5トン/日(敷き料を含む)
A 副資材の構成と使用量  :オガクズ11.9トン(敷き床)
B 調整後の適応水分範囲等 :50〜65%
2. 処理性能
@ 1次処理および2次処理の運転方法
1次処理のみ、スクリュー式発酵槽、攪拌1回/日、自走式(全自動)
A 処理日数   :滞留50日間
B 製品堆肥水分 :製品堆肥水分:35〜40%
C 原材料の水分、有機物量、発熱量、分解率等)
投入原料:水分51%、26.5トン(49.5m3)/日
3. 施設の設置面積
原料糞1トンあたりの処理面積
21.5m2/26.5トン=1トンあたり0.8m2

稼動施設の概要

(1) 堆肥化施設の設置年月
2008年11月
(2) 施設の処理能力および実処理量
処理能力26.5t/日 実処理量:26.5t/日推定
(3) 処理対象:豚ふん 
(4) 施設の設置面積等 施設設置面積1,568m2
(5) 主原料の前処理と固液分離機の有無
前処理、個液分離なし 直接投入
(6) 搾汁液処理の有無:なし
(7) 堆肥化施設への畜ふんの搬送・混合・投入作業
バケットローダーにより搬送、投入、機械攪拌
(8) 投入原料の重量および水分等
重量26.5t、水分率51% 、容積重535kg/m3
(9) 製品化設備と製品貯蔵設備
製品庫なし
(10) 製品生産量と販売量(袋詰め、バラ)
年間約4283トン 全量バラにて販売
(11) 残渣の発生量とその処分
年間約4283トン 全量バラにて販売
(12) 施設の運転にかかわる日常作業量
常勤者1人・日 非常勤者1人・日
(13) 脱臭設備の有無:無し
(14) その他の付帯処理設備:特になし

施設の機能(機能調査例)

調査事例なし



処理経費(応募施設の実績または試算値)

処理施設の建設費 70,000千円
a. 建築土木原価償却費 C×0.9÷15年  3,060千円
b. 機械設備原価償却費 D×0.9÷ 7年  2,442千円
計 5,502円
堆肥製品販売額 0円/年
年間処理経費
@ 施設償却費      5,502千円/年
A 維持管理費の合計   12,373千円/年
B 年間処理経費(販売益相殺なし)
@5,502千円+A12,373千円=17,875千円
処理経費原単位
@ 肥育豚1頭当たりの経費 17,875千円÷19,200頭=0.93千円/頭・年
A 処理原料1トン当たりの経費 1.93千円/トン・年
B 10年スパンの主要な定期点検、交換部品等
機器 点検
交換
点検
交換頻度
点検
交換費用
耐用年数 員数 本体価格
スクリュー式
攪拌機
補修 3〜5年 50万円 10年 2 1,400万円

堆肥製品は、バラ販売

導入に当たっての留意点

@水分調整が必須

納入実績

畜種 規模 納入年 件数
@ 搾乳牛 400〜700頭 平成17〜20年 2件
A 養豚 5000〜9600頭 平成20年 2件
B 鶏糞処理 50,000〜80,000羽 平成19年 2件

本方式の適用可能畜種および畜産以外の適用可能原材料

(1) 適用可能畜種
乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー、すべての畜糞の堆肥化に対応可能。
(2) 畜産以外の適用可能原材料等
生ごみ、汚泥ほかの堆肥化処理に対応可能。

2. 評価結果(評価委員会による評価結果)

総合評価

  1. 堆肥舎の奥側の壁を攪拌機の走行レールとし、反対側に車輪型の走行部を配置しているため、任意の場所でローダー等により材料の搬出・搬入が可能である。このため、戻し堆肥の生産や、複数農家で運営する堆肥化施設において、発酵程度や水分に応じた材料投入が可能となり高品質な堆肥化が期待できる。
  2. 攪拌部が2軸のスクリューになっており、他の攪拌方式に比べ間口が大きくとれる、構造材が小さくてすむので低コスト化が図れる、所要動力が少なくてすむなどのメリットがある。現地調査の結果、2軸スクリューにより堆肥材料の破砕性能は十分なものであった。
  3. 現地調査の堆肥舎は熟成棟仕様であったため、床面に多孔パイプの通気装置は設置されておらず、一部戻し堆肥生産も行っていた。この農場では、浅型のロータリー攪拌装置を備えていたこと、本機による攪拌回数が多かったことなどから発酵品質は良かった。
  4. 本機は、最大間口15m、堆積高さを最大3m(1次発酵舎は2m)までとれることから、大型の2次発酵舎(熟成用)にも設置可能と考えられる。なお、熟成用であっても堆肥温度を中温に保つため通気装置を併設することが望ましい。
  5. 聞き取り調査によれば、車輪走行式以外に、つり下げ耕造のものもある。耕造、形式にかかわらず、機能的には同じ効果が期待できる。
  6. 製品仕様に、適応スパン幅、高さなどの情報も記載することが必要である。

評価チャート

3. 施設説明写真

評価年月日 2009/11/17