ブロワー等で強制通気すると、堆肥化の作業が軽減されますし、発酵と乾燥が進みやすくなります。気になるのは、通気に要する電気料です。ここで、搾乳牛ふん200頭分のふんを堆肥化するときに通気した場合の電気料を試算してみました。
牛ふん:45 kg/頭・日
副資材:10 kg/頭・日
堆肥化処理日数:30 日
とします。
堆肥原料の重量:45 kg/頭・日 + 10 kg/頭・日 = 55 kg/頭・日
堆肥原料の堆積あたりの重量を0.6 kg/Lとすると、
堆肥原料の堆積:55 kg/頭・日 ÷ 0.6 kg/L = 92 L/頭・日
発酵槽の大きさ:92 L/頭・日 × 200 頭 × 30 日 ÷ 1000 = 552 m3
送風量を1 m3の堆肥原料に100 L/分送るとすると、
送風量:552 m3 × 100 L/m3・分 ÷ 1000 = 55 m3/m3・分
送風機にターボファン (200 mmH2O)、能力:60 m3/分、消費電力約4 kWを使い、電気料を18 円/kWhとすると、
電気料:4 kW × 24 時間 × 18 円/kWh × 0.7 = 1,210 円/日
1頭あたりの電気料:1,210 円/日 ÷ 200 頭 = 6 円/頭・日
乳牛1日1頭当たり、約6円の電気料が必要になる結果です。
過剰な通気は、電気代の無駄ですから、施設設計の段階で適切な大きさのブロワーにすることが重要です。また、ブロワーの能力が過剰な場合は、送風機にインバータを設置して通気量を調整できるようにしたり、タイマーで間欠運転したりすることで節電を図ることができます。
なお、堆肥化の後になるほど必要な通気量が少なくなるので、発酵槽ごとに堆肥化のステージが違うのならば、それぞれに適切なブロワーを設置したり、インバーターやタイマーを設置したりすると効果的です。タイマーで稼働時間をうまく振り分けることで、契約電力量を小さくしている例もあります。1つのブロワーから複数の発酵槽に分岐しているのならば、それぞれの分岐先にバルブとマノメーター(圧力計)を設置して調節すると効果的です。このときは、余剰な送風を逃がす排気管を設置するか、インバーターで送風量を調整できるようにしてください。
→強制通気の効果は最初の2週間程度が顕著
→マノメーター(圧力計)
常にインバーターで消費電力を押さえている状態ならば、契約電力量をもっと小さくできないか検討してみるといいでしょう。可能ならばコスト低減になります。
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