副資材を全く使わずに、戻し堆肥だけで容積重を調整して堆肥化できます。ただし、原料の水分が多い場合は、乾燥行程を入れる必要があります。
戻し堆肥を繰り返すと、できあがり堆肥の粒子が細かくなり、原料と混合したときに空隙ができにくくなります。このため、戻し堆肥の混合割合を多くし、混合した後の容積重を通常よりも低くする必要があります。原料にもよりますが、最終的には、0.55kg/L程度の値になります。堆肥化温度を測定しながら、適切な容積重を設定してください。
戻し堆肥の混合割合が多くなるため、混合後の体積が多くなり、発酵槽の容積が多く必要になりそうに感じます。しかし、戻し堆肥に含まれる種菌の作用と、原料が希釈されることによって、堆肥化の期間が短縮されます。このため、堆肥化に要する発酵槽の容積は、それほど多くなりません。逆に、副資材が入らなくなった分だけ、少なくなる可能性があります。
戻し堆肥の混合割合が多く、始めからかなり乾燥した状態で、堆肥化を行うことになります。しかし、乾燥が進みすぎると微生物の活性が低くなってしまいます。このため、堆積を高くして乾燥を防ぐ必要があります。また、堆肥の粒子が細かくなって撹拌すると粉塵が舞うので、撹拌の頻度が多い解放型発酵槽は適していません。また、堆肥の粒子が細かいために空隙ができにくいことに加えて、堆積を高くするため、強制通気が必須です。したがって、堆積高さ2m程度(3mを超えると発火する恐れがあります)の通気型堆積発酵槽が適しています。
発酵がうまく進むと、堆肥温度は70℃を超えるようになります。乾燥した状態で温度が上がるので、引火して火災を起こす危険性があります。一気に延焼することは少ないですが、消火用の砂を入れたバケツと、消化器は常備するようにしてください。
原料が持っているエネルギー量は限られています。堆肥化に伴う発熱は、このエネルギーを微生物が分解した際に、一部が熱となることによります。堆肥化に伴う乾燥は、この発熱の他に、強制通気、表面からの自然蒸発によって起こりますから、これを超える水分が原料に含まれていると、戻し堆肥のみでは容積重の調整ができなくなります。このような場合は、あらかじめ原料を乾燥させるか、戻しに使う分の堆肥を乾燥させるかをする必要があります。前者の場合、悪臭発生のおそれがあります。また、戻し堆肥のみで堆肥化する場合は、できあがり堆肥が乾燥しすぎる傾向があるので、後者の方が適している場合が多いようです。
出来上がり堆肥の容積重が0.25kg/Lで、これと原料を混合して、容積重を0.55kg/Lにする場合、原料に対する戻し堆肥の混合割合は、グラフのようになります(混合後の容積の増減はないものと仮定しています)。原料の水分が多くて容積重が1に近い場合でも、容積比で原料の1.5倍の戻し堆肥を混合すれば良いことになります。
原料の1.5倍もの戻し堆肥を入れると、出来上がり堆肥が不足しそうですが、実際には、戻し堆肥の部分は堆肥化しても、それほど目減りしませんから、大量に戻し堆肥を使ったとしても、製品堆肥が全く出ないということはありません。
出来上がり堆肥の成分は、通常の副資材を使ったものよりも、リンやカリウムの濃度が多少高いくらいで、それほど違いはありません。しかし、粒子が細かく乾燥しているため、散布時に風が強いと粉塵が舞うので、注意が必要です。コスト的に見合うのであれば、ペレット化するのに適しています。
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