発酵床豚舎の例(少頭飼い豚舎)
1豚房に10〜40頭程度を飼育する発酵床豚舎の例です。この例では、通路の片側だけに豚房を配置していますが、両側に配置した構造でもかまいません。
図1 発酵床豚舎の例(横から見たところ)
図2 発酵床豚舎の例(上から見たところ)
【設計のポイント】
- 適切な深さにする
床の深さは、全量排出型ならば40cm、戻し利用型ならば60cmにします。コンクリート床の高さは、床面よりも5cm高くし、壁面は床面よりも15cm高くします。
- 床の底を遮水する
床の底は必ず遮水してください。バケットローダーの荷重に耐えられる強度を持ったものにします。
- コンクリート床を設置する
発酵床は、発酵がうまくいくと発熱します。冬は保温として効果がありますが、夏は暑熱ストレスの原因になる可能性があります。このため、熱い時に退避できるように、一部をコンクリート床にします。
- 給水器のこぼれ水が床に入らないようにする
給水器を豚房の外に設置して、こぼれ水が床に入らないようにしてください。この例では、可動式の柵と一緒に動く構造になっています。
- 排水溝を設置する
床を洗浄したり、戸板の下から排汁が出たりしたときの排水を回収できるように排水溝を設置します。ひさしやカーテンの内側に設置し、排水溝から外に向かって傾斜をつけることで、排水溝に雨水が入らないようにします。この例では、バケットローダーの走行を妨げないように、幅が広く、浅い溝にしています。
回収される汚水は、浄化処理や農地還元などにより、きちんと処理してください。
- 重機で作業できるようにする
床材の搬入搬出やかく拌の作業は、重機で行えるようにする必要があります。1つの区画の幅をバケットローダーのバケットに合わせると作業が容易になります。図3のように、入り口の戸板を閉めた後に、床材の投入ができなくてはならないので、十分な屋根の高さを確保してください。
- 出っ張りやへこみを少なくする
豚房内は、出っ張りやへこみがないきれいな四角い形にすると、搬入搬出だけでなく、洗浄も容易になり、消毒の効果も得やすくなります。特に床材が入っている部分は、重機で作業するので重要です。
- 肥育中でも床のかく拌ができるようにする
図4のように、扉を動かして、半分に豚を追い込めるようにし、豚がいても床のかく拌を重機でできるようにすると、作業が容易になります。
- 暑熱対策
天井からミスト状の水をかけたり、換気扇で空気の通りを良くするのが効果的です。
図3 柵を閉めた状態でも上から床材を投入できるようにする
図4 半分ずつ開閉できるようにすれば豚がいても重機で床を撹拌できる
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