堆肥の機能を増進するために複数の資材を混合して製造された堆肥を「融合堆肥」といいます。この融合堆肥化技術は、もともと下水汚泥堆肥の高品質化のために開発されましたが、家畜ふんでも付加価値をつけた堆肥の製造に利用することができます。堆肥の利活用を促進するために、大いに活用すべき技術です。
基本的に、どのような機能を持つ堆肥を生産するか、というところから堆肥の原料を考えます。家畜ふんから、機能性を強調する堆肥を製造するためには、次の方法があります。
家畜ふんに副資材を混合する堆肥化は、広く行われていますが、オガクズやモミガラは水分調節を目的としているため「副資材」であり、「副原料」ではありません。しかし、物理性の改良効果を付加するために添加するのであれば、「副原料」であり、「融合堆肥」となります。今の堆肥の作り方と大きくは違わないように見えますが、堆肥の役割を、「土づくり資材」から、より有効な資材として位置づけたものが「融合堆肥」なのです。
なお、融合堆肥(融合コンポスト)の定義は、森(1999)によれば「単一素材でも堆肥または土壌改良材として利用できる有機質または無機質資材を複数組み合わせて堆肥化し、単一素材より優れた土壌改良効果または肥料効果を発揮するようになった高品質コンポスト」としています。また、「水分調整や通気牲改良を目的とした木屑やモミガラを副原料に用いた堆肥は融合コンポストと呼ばないが、稲ワラのように単一でも堆肥化できる資材や、ゼオライトのように単一で優れた土壌改良効果を有する無機物質を利用した場合も融合コンポストの範疇に入る」としています。ただし、肥料成分を調整するために化学肥料を堆肥に混合することは、今の肥料取締法では禁止されています。
前のページにもどる